2015年12月18日に公開された「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の快進撃が止まらない。全米興行収入は、公開から1月10日までで8億1273万ドル(約975億2817万円)となり、2009年の「アバター」を抜いて、史上1位を記録した。世界でも既に、「アバター」「タイタニック」に次ぐ3位に入っており、興行収入の最高記録を塗り替える可能性も出てきた。
映画のヒットに伴ってスター・ウォーズ関連商品の市場が活況を呈する中、バンダイが展開する「スター・ウォーズ プラモデルシリーズ」が人気を集めている。バンダイ ホビー事業部企画開発チーム リーダーの福地英記氏は、「売れ行きは絶好調。出荷実績は予想を上回り、昨年は欠品になるアイテムも出てしまいました。うれしい反面、在庫管理や補充に関して、もっと緻密な計算が必要だったと反省しています」と話す。
意外に思うかもしれないが、「ガンプラ」で知られるバンダイがスター・ウォーズのプラモデルを手掛けるのは今回が初めて。世界的にコアなファンをもつ作品であるがゆえ、「中途半端は許されない」との緊迫感が開発現場に漂ったという。
東京おもちゃショーで試作をアピール
そもそも、スター・ウォーズのプラモデルは目新しい商品ではない。第1作「エピソード4/新たなる希望」が1977年に公開されて以来、国内外を問わず、数多くの玩具メーカーがスター・ウォーズのプラモデルを手掛けてきた。「当社にもいつかはスター・ウォーズのプラモデルを商品化したいという思いがありました。だが、なかなか権利が取れない。それでも夢は捨てずに、スター・ウォーズをテーマにした試作を作り続けていました」(福地氏)。
そのひとつの成果が2014年6月の東京おもちゃショーで発表されたスター・デストロイヤー。全長96cm、重さ1.6kgの巨大な模型は来場者の目を引き、バンダイが今後どんなスター・ウォーズ関連商品を開発してくるのか、期待が高まった。「こうしたアピールを続けた結果、米ルーカスフィルムからGOサインが出た。プラモデル化の権利を獲得したんです」。そして同年11月、バンダイ「スター・ウォーズ プラモデルシリーズ」の第1弾商品として、「Xウイング・スターファイター」の発売に漕ぎ着けた。


商品の企画・開発にあたって、最初に頭を悩ませたのが、商品の立ち位置をどこに置くかだった。それによって、商品開発の手順が大きく異なるからだ。プラモデルは大きく2つのジャンルに分かれる。漫画やアニメを題材にしたキャラクターモデルと、戦車や城など実物が存在するスケールモデルである。キャラクターモデルは2次元のモチーフが元になるため、「立体化するとどうなるだろう」と考えながら、完成形をイメージし、設計していく。一方、スケールモデルは既に実在する完成形があるため、忠実に再現していく作業がメーンとなる。
バンダイ ホビー事業部海外マーケティングチーム サブリーダーの小木戸希莉氏は、「プラモデル化にあたり、キャラクターモデルとスケールモデルの中間という位置づけを選びました。スター・ウォーズには、ルーカスフィルムが作成した実寸のプロップ(小道具)が存在します。であれば、そのプロップに基づいて忠実に商品を作ればいいと思われるかもしれませんが、そうはいかない事情があります」と言う。
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