では、努力不足などで目標を達成できなかった部下がいた場合、社長や上司は叱るべきでしょうか。部下に奮起を促す意味で叱ったほうがいいと思うかもしれません。しかし、私はやめたほうがいいと思います。それよりも、効果的な方法があります。社長や上司が自分のことのようにがっかりしたり、悔しがったりしたほうが、部下のやる気に火がつくのです。「せっかく自分に期待をかけてもらっていたのに裏切ってしまった」と後悔する可能性が高まるからです。

 叱るのは、既にできるはずの仕事を自分で「やります」と宣言したにもかかわらず、取り組まなかった場合と、法律や就業規則などのルールを守らなかった際だけにとどめるべきです。それ以外は、がっかりしたり、悔しがったりしたほうが、感情的なわだかまりも生まれにくくなります。

 行動とその結果を踏まえた部下との接し方を図に整理してみました。まず、行動して結果も出た場合は、自分のことのように喜んで褒める。次に行動したものの、結果が伴わなかった場合には、前述の通り、挑戦した勇気や意欲は褒め、行動改善を促してください。

 ポイントは、行動しなかったために結果が伴わなかった場合。このときに社長や上司は叱るのではなく、がっかりしたり、悔しがったりした上で、改善策を一緒に考えて育てるのです。多少やっかいなのは、行動しなかったのに結果が出た場合。これはよくよく掘り下げると、誰かの支えがあったから実現することが多いパターンです。そのため、社長や上司は、誰のおかげによる結果か考えさせた上で、支えてくれた人への感謝を促します。

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