今月20日から通常国会が招集され、自民党は衆参両院の憲法審査会の場で、改憲項目の絞り込みを進めるという。

 憲法改正を論ずるとは、この国の望ましい統治機構の在り方を模索することでもある。憲法改正の必要はあるかないかという入り口の議論ばかりではもったいない。具体的な論点についての議論を重ねれば、たとえ改正に至らなくても、国民の憲法に対する意識や「この国のかたち」について考えが進むはずだ。

 政治家たちが憲法問題を政局化せず正面から論じ、国民はその議論を追いつつ、自らの見識を深めていく。憲法改正論議は私たち国民にまたとない政治教育の場となるだろう。

 そこで、今回から3回にわたり、各党・議員の発言の中から、興味深い憲法改正の論点について個々に取り上げたいと思う。いずれも改正するかしないかは別として、そのような議論そのものが議会制民主主義の発展に資するものである。

 今回の論点は、参議院の合区解消だ。

2016年の参院選は、島根と鳥取、高知と徳島の合区が実施されての初の選挙となった。(写真:ZUMA Press/アフロ)

「一票の格差」問題とは

 まず、参議院の「合区」解消という論点を考えたい。

 「合区」とは議員定数不均衡(一票の格差)問題に絡む話である。選挙のたびに裁判が起こされ、テレビのニュースで「今日、一票の格差が合憲と判決が出ました」「違憲と判決が出ました」などとご覧になった方も多いだろう。あれに絡む話である。

 合区を説明する前に、「一票の格差」問題を説明しよう。

 たとえばある地区の人口が100人で、そこに国会議員を1人割り当てるとする。議員数が人口に正比例するならば、1000人いる地区には議員が10人割り当てられることになる。このとき、100人地区と1000人地区の有権者1人あたりの投票の価値を比較すると「1対1」で完全に平等になる。しかしたとえば1000人いるのに1人しか割り当てられないケースが出てくると、このとき100人地区と1000人地区の投票価値は「10対1」となる。

 選挙権が「ひとり一票」ずつ与えられているのは読者の皆さんもご存じだろう。だが投票価値が「10対1」では、実質的に1000人地区では10人の有権者が集まって、やっと100人地区のひとり分に相当しているのではないか、と考えられるのである。これが「一票の格差」問題である。