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 モスクワでは3泊して、地下鉄と路面電車を使って徹底的に散歩する予定だったが、旅行の出発直前に妻から異議が申し立てられた。

わが女帝いわく「女帝エカチェリーナ2世を偲びたい」

 女帝と女王と女傑好きの妻は、ぜひサンクトペテルブルクに行って女帝エカチェリーナ2世を偲びたいという。わが家の女帝が言うことには逆らえないし、サンクトペテルブルクには一度行っておかなくてはならないと思っていたので、この機会に訪ねてみることに決めた。

 とはいえ、モスクワとサンクトペテルブルクの距離は鉄道で650kmほどあり、夜行列車を使うしかないと思っていたら、2009年に最高時速250kmという特急サプサンが運行を開始していたことを知った。サプサンは日本語でいうと「はやぶさ」。奇遇にも東北・北海道新幹線の最速列車と同じ名前である。

 サプサンは日中に10往復ほどが運行されており、そのほかに豪華列車の「赤い矢」1往復を含む夜行列車10往復あまりが、モスクワとサンクトペテルブルクを結んでいることが分かった。

エルミタージュ美術館のある冬宮(左)と宮殿広場

 特急サプサンを利用すると、モスクワ~サンクトペテルブルクの所要時間は4時間前後。日帰り客のためだろう、2015年9月時点で、モスクワを朝7時前後に出る列車が3本用意されていた。帰りは、サンクトペテルブルクを19時前後に出る列車が、これまた3本。ということは、現地には8時間ほど滞在できる。長いようではあるが、3日かけて回る人もいるというエルミタージュ美術館を見て、町を散歩して、軽く食事もとっていたらぎりぎりだろう。

 東京に宿泊している外国人観光客から、日帰りで京都に行ってくるという話を聞いて、「もったないなあ。泊まってくればいいのに」と笑っていたが、自分も同じようなことをしてしまったわけである。

特急サプサンで二都の往復にチャレンジ

 シベリア鉄道の切符を予約したサイトで調べたところ、サプサンの車両にはプレミアム、ビジネス、エコノミーの3クラスがあるという。4時間の移動だし、写真で見る限りエコノミーでも十分ゆったりできそうだが、今回のテーマが「大人の旅行」であることから、見栄を張ってビジネスクラスを予約した。1人当たり片道1万円強である。なお、この料金は列車や季節によって異なり、さらに手数料が含まれているので。念のため。

 もっとも、ビジネスクラスにはもれなく食事が付いている。朝早い出発のために、ホテルで朝食をとる時間がなく、サンクトペテルブルクで食事をとる時間を節約することも考えに入れた。

モスクワ・レニングラード駅前から、モスクワ・カザフ駅(左)を望む。広々とした空間がいい感じ

 サンクトペテルブルク行きの列車が発車するのは、モスクワ・レニングラード駅(正確には、モスクワ・レニングラーツキー駅)。シベリア鉄道の始発駅であるモスクワ・ヤロスラブリ駅の隣にある。前にも書いたように、モスクワのターミナル駅は方面別に分かれていて、目的地や経由地を名前に付けている。

 レニングラードというのは、ご承知のように、社会主義時代のサンクトペテルブルクの名称である。町の名前は変わったけれども、モスクワのターミナル駅の名前は昔のままというわけだ。

 どういう事情があるのかは知らないが、ターミナル駅の名前を変えるとなると、いろいろと費用や手間がかかってしまうから、もとのままにしているのかもしれない。