町外れの様子はすっかり変わっていた

 30年前は、この7月3日通りを、さらに町外れに向かって歩いていったようである。前の写真から300mほどの地点から撮ったのが下の2枚の写真。

 30年前は、ここまで来るともう道は舗装されておらず、道端はかなりぬかるんでいた。ちょうどそこに小型のボンネットバスが通り掛かったところを、カラーで撮影していた。

いかにも町外れという風情。坂道を歩いて降りてくる人も見える(1985年撮影)
道路は舗装されてすっかり変わったが、よく見ると昔のまま残っている家もある

 上の写真の右側には、30年前はアンガラ川岸辺の沼地が広がっていた。そこに架かる木造の橋から撮ったのが下の写真(上)。正面のなだらかな丘に、昔ながらの家々が建っているのがわかる。

 今回行ってみると、すでに沼地は埋め立てられて、この写真の反対方向にはガリンスタンドや小さなスーパーマーケットが建っていた。写真の正面奥に見えるのは、再開発地区の南端にあるショッピングモール。有名ブランドの店や携帯ショップ、大型スーパー、映画館などが入居しているのは、日本とまったく同じである。

木造の橋のたわみ具合がまた味わい深い(1985年撮影)
正面の古い2軒の木造家屋は、昔の写真にもはっきり写っている

 ちなみに、「ロシアのスーパーで買い物をした」と日本人の友人に話すと、よく聞かれるのが、「商品はちゃんとあったの?」「物不足じゃなかった?」という質問。今から四半世紀前のソ連崩壊当時のイメージが頭にこびりついているようである。

 現在のロシアは資源大国で農業も盛んである。(たぶん)流通もしっかりしているから、市場には生鮮食品がぎっしりと並んでいるし、スーパーには酒もスイーツもずらりと揃っていた。一時の資源バブルを経て、今は経済が不調だとはいうが、国内の産物を国内で消費している一般消費者にとっては、それほど深刻な事態にはなっていないという話ではあった。

ストリートビューでの予習が役立った

 ところで、こうして新旧の写真を並べて偉そうな説明を書いていると、「この人は昔行った場所をよく覚えているな」と思われるかもしれないが、そんなことは決してない。

 実は、こうした定点対照写真が撮れたのは、ネットの発達──とくにグーグルストリートビューのおかげである。

再開発地区の先には、昔ながらの雰囲気を残す一角が今もあった

 今回の旅行を決めるまで、イルクーツクの町の様子はすっかり記憶から消え去っていた。それでも、当時宿泊したホテルの場所だけは覚えていたので、フィルムの順番を見ながら、散歩の足どりを追っていったわけである。