アンチエイジングといえば、女性の関心事と思いがちだが、そうではない。WHO(世界保健機関)の「世界保健統計2015」によると、平均寿命84歳の日本は世界一の長寿国だ。しかし男女別に見ると、女性は第1位なのに、男性は第6位にすぎない。日本では、女性は健康に気を遣っているが、男はそうでもないという現実がそこから見て取れる。本当にアンチエイジングが必要なのは、実は男性のほうだった!

 今回のテーマは「ドライアイ」。調査によると、オフィスワーカーの3人に2人がドライアイ、またはその傾向があるという。仕事の効率に大きく影響するドライアイを防ぐには、どうしたらよいのだろうか?

10秒間、目を開けていられますか?

 パソコンやスマホで目を酷使するせいか、「ドライアイ」に悩む人が増えている。ドライアイとは、涙の分泌が少ないため、文字通り目が乾く病気だ。

 ビジネスパーソンにとって目は命。約600人の医師や研究者が参加するドライアイ研究会の世話人代表を務める慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授は、「目の痛み、頭痛、肩こりなど不快な症状に悩まされ、仕事の効率にも大きく影響する」と話す。視力が不安定になることで、車の運転にも危険が出るというから、決してばかにできない。

 ドライアイ研究会では、「涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う」と定義。①涙液の異常、②角結膜上皮障害、③自覚症状のうち、3つすべてに該当する人を「ドライアイ確定」、2つ当てはまる人を「ドライアイの疑い」としている。受診する患者の半分は50歳以上。若者でもなるが、年を取ると起こりやすくなる。

 医師に診てもらわなくても、自分でも大まかな診断はできる。「10秒間目を開けていられなければドライアイと考えていい」と坪田教授。普通の人は1分間に20回前後まばたきをするが、ドライアイになるとそれでは足りず、回数が倍増するという。

メタボはドライアイになりやすい

 目を酷使する現代のビジネスパーソンに、ドライアイは想像以上に多い。2011年にドライアイ研究会と参天製薬が共同で、大阪市で26~64歳のオフィスワーカー672人を対象にした「大阪スタディ」と呼ばれる疫学調査を行っている。専門医の診察によると、上記の診断基準で「確定」が11.6%、「疑い」が54.0%。合計65.6%となり、なんと3人に2人がドライアイ、またはその傾向があると診断された。

 また、なぜかメタボリックシンドロームの人にドライアイが多いことも判明し、注目されている。40歳以上に「シルマーテスト」(涙の量の検査法。専門のろ紙をまぶたに挟み、5分間で何mm濡れるかを調べる)をした結果、メタボの人は明らかに涙の量が少なかったのだ(下グラフ)。

[画像のクリックで拡大表示]

次ページ 腹八分目、まばたき、運動を心がけて