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 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、三菱UFJ銀行の三毛兼承頭取が2019年4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。社長交代は6年ぶりで、現社長の平野信行氏は代表権のない会長になる。三菱UFJは低金利が長引く国内より、海外事業を稼ぎ頭に育てる姿勢を打ち出している。国際経験豊かな三毛氏の起用は、この点に一層の重きを置く狙いがある。

右が新社長に就く三毛兼承氏(写真:朝日新聞社 2017年5月撮影)

 三毛氏は26日の記者会見で「振り返ると、米国、ロンドン、バンコクと14年あまり海外を経験し、いろいろな人材と一緒に経営してきたことが、グローバル化を進めていくうえで評価されたのかなと思っている」と語った。そのうえでMUFGの体質について問われると「正直言って計画は素晴らしいが、実行とスピードに課題がある」と指摘。「改革のスピードを上げる。デジタル化が急激に進むなか、自らがいわばディスラプターとしてイノベーションを起こす存在でなければならない」と続け、海外展開とフィンテックを含めた技術革新をともに加速する考えを示した。

 三毛氏は歴代トップに多い「企画畑」出身ではない。国内の各銀行は、日銀による超低金利政策が響き、従来の事業モデルの抜本的な見直しを迫られている。その突破口と位置付けるのが海外事業だ。平野氏は同日の会見で、三毛氏について「修羅場も含め、様々な困難を明るく乗り切ってきた」。一般企業に比べて海外展開に出遅れた銀行にとっても、今やトップの国際経験が必要不可欠な資質になっていることは、疑いの余地はない。

 とはいえ、過去の海外での経験がそのまま収益に直結するかどうか。三毛氏は今年10月、サウジアラビアでの国際投資会議「未来投資イニシアチブ」でスピーチを予定していた。三菱UFJ銀行はサウジアラビアに支店を開いており、そのオープンにあわせた講演だったが、出席をとりやめた。直前にジャーナリスト殺害事件が起きたためだ。巨大金融機関を率いるうえで、これまでの延長線上にない判断を求められることも一層増えると予想される。国際情勢が日に日に読みにくくなっている昨今にあって、三毛氏が頭を悩ます局面も増えそうだ。