保育所を利用する社員の声を生かし、WithKidsの利用登録は年中可能にした。一般の保育所は4月の入所がほとんど。途中からは入れないところが多く、保活に失敗した親の復職が1年ずれることもある。復職が遅れるとブランクが空いてしまい、復帰をためらう人が出かねない。そのまま退職してしまう人もいるだろう。

 「社内託児所は、単独で見れば大赤字」と石関さんは打ち明ける。業績悪化のリスクも考えられるが、牧野CEOは「人材投資」と割り切っている。

 国や自治体、企業だけでなく、そこで働くビジネスパーソン一人ひとりが課題を感じ、解決に向けた提案を持ち寄ることで、新たな仕組みを作っていく。それは社員個人のスキルアップにつながり、ひいては会社のチカラにもなる。

出生数100万人割れ、待機児童増の現実

 2016年4月1日に「女性活躍推進法」が施行し、女性管理職の登用などの行動計画の策定が義務づけられた。さらに、待機児童問題を抱える東京都には初の女性知事となった小池百合子氏が就任。子育て支援を政策の柱の1つに掲げている。国と中央の自治体が動き出し、女性が働く環境整備への期待は高まりつつある。

 だが現実は残酷だ。厚生労働省の2016年の人口動態統計(年間推計)によると、1899年の統計開始以降で初めて出生数が100万人を割った。塩崎恭久講師労働大臣は同日の記者会見で「出生数の動向は厳しい状況が続いている。子育て支援などに引き続き力を入れていく」と述べた。

 とは言いつつも、認可保育所や認定こども園などの入所を希望しても入れない待機児童は全国で2万3553人(2016年4月時点)で、前年比386人増えている。増加は2年連続で、集計には含まれない「潜在的待機児童は6万7354人にのぼるという。「保育所落ちた日本死ね」というインターネットへの書き込みは、2016年の流行語大賞にノミネートされるなど多くの議論を巻き起こしたように、保育所を確保する「保活」は都心を中心に競争率が高い。

 状況の厳しさは続くが、2017年は少子化対策や育児支援を含めた働き方改革が進むと見て、その行方は「中吉」とした。ただ、これも国や自治体任せだけでは難しい。企業の努力も当然、必要になる。夢を正夢にするための努力が、企業にも求められる。