保育士を社員として抱える

 WithKidsの保育士は2人、看護師も1人いる。採用はワークスの社員が自ら行い、契約社員として採用した。正社員ではないが、給与体系や福利厚生などは正社員とほぼ変わらない。保育士は一般的に給与が安いとされるが、ワークスが採用した2人は一般的な保育士の給与の1.5~2倍程度という。

 WithKidsの専任メンバーの1人になった経営企画の石関絵里さんは「保育士を社員として抱えたことで、お互いに対等な立場で話し合えるようになる。一方的に任せるのではなく、利用する社員とともに建設的な議論ができるため、より使いやすく、より保育士に負担が少ない仕組みを模索できる」とそのメリットを強調する。

 社員だけでなく、保育士もメリットを感じる託児施設となっているのだ。働くパパママたちの夢を正夢に変えたワークス。どうしてこのような託児所を作ることができたのか。

Withkids立ち上げのメンバーである経営企画の石関絵里さん(左)と谷口裕香さん(右)

有志のプロジェクトに50人参加、未婚の男女も

 答えはトップの鶴の一声だ。若い社員や女性社員が多く働く同社で、優秀な社員が結婚や出産を機に退職するのを防ぎたいと考えた牧野正幸CEOが、2016年3月に社内託児所の設置を検討するプロジェクトを立ち上げた。

 有志を募ったところ、部署の垣根を超えた約50人のメンバーが集まった。女性だけでなく、未婚の男性もいた。参加した理由は「同じチームのメンバーが出産を機に働けなくなるのは見過ごせない」という理由からだった。3カ月後に概要を固め、半年後にはWithKidsがオープンするというスピードの速さ。トップダウンで始まったプロジェクトとはいえ、現場の社員がみんなで討議を重ねて「自分たちが使いたい託児所」を作ったのだ。

 石関さんと同じく、WithKidsの専任メンバーである経営企画の谷口裕香さんは、自身の経験をもとに、社内託児所を活用するメリットを社員に説いている。それが、引っ越しによる保育所難民の防止だ。谷口さんには4歳と1歳の子供がいて、2人目の出産を機に家が狭くなり、引っ越した。それまでは地元の認可保育園に預けられていたが、引っ越し先で保育所難民となってしまい、認可外保育へと変わった。認可外保育は料金も上がるため、家計負担は増えてしまったという。

 子供1人に適した広さの家に住んでいたが、2人目だと狭いと感じて引っ越しを検討する。だが、今預けている保育所から離れた場所に引っ越すと、新たに2人分の保育枠を確保しなければならなくなる。結果、子育てを優先して復職を諦める人もいるという。社内託児所という保険があれば、引っ越しても保育所難民にはならない。