ただ、トランプ新政権の経済政策の出方や、ドル高による新興国からの資金流出懸念など先行きには不透明感が漂う。景気を急速に冷やす緊縮策は論外だが、大幅な税収増を前提にした財政政策の持続性に陰りが見えたのは確かだ。成長重視の旗を掲げつつ、その脆弱さに向き合うことも欠かせない。

 既に政策に使う経費の5割超は社会保障費が占めている。ほかの政策分野への配分が硬直的なものになっているのが実情だ。

 働き方改革や子育て支援、研究開発や効果的なインフラ投資など成長を後押しする分野に重点配分する機動的な予算編成の余地を広げるためにも、社会保障分野の抜本改革が避けて通れないことは明らかだ。

海外投資家の安倍政権への不満

 「安定した政権基盤の安倍政権に対する海外投資家の期待は大きい」
 「ただし、財政規律や社会保障の持続性、人口減への対応といった構造問題への取り組みが足りないとの不満を良く耳にする」
 海外の市場関係者などとの関係が深い竹中平蔵・東洋大学教授はこう指摘する。

 人口減を踏まえ、生産性向上など経済成長に向けた取り組みを加速させるとともに、経済社会構造の現状に対応する形に社会保障と税制のあり方を一体的に見直す。成長と財政再建の両立には、そうした着実な対応を積み重ねていくことこそが王道なのだろう。

 「衆参両院で安定した議席を有する強い政権の間に、日本の構造的な問題の解決に取り組んでほしい」。企業トップらと話していると、こんな声を聴く事が多い。

 これに対し、次期衆院選をにらみつつ、こだわりのテーマである憲法改正論議やロシアとの北方領土交渉を本格化していきたい安倍首相にしてみれば、内閣支持率の下落につながりかねない「痛みを伴う改革」はできるだけゆったりとしたペースで進めていきたいというのが本音だ。

 一層の長期政権を見据える安倍首相がどのような時間軸で肝いりのテーマや、こうした構造問題の解決に取り組んでいくのか。2017年の大きな注目点となりそうだ。