このほか、超高額の抗がん剤オプジーボの公定価格(薬価)の50%引き下げも行った。

 社会保障費の伸びを年5000億円程度に抑えるという目標の達成に向け、「世論の反発が比較的小さそうな、削減しやすい項目を積み上げた」と政府関係者は語る。

 長年の課題となっていた、一定の所得がある高齢者の負担増に一歩踏み込んだこと自体は評価できる。

 ただ、政府・与党内では来年夏の東京都議選や早期の衆院解散・総選挙が実施される場合への影響を懸念する声が広がり、改革の深掘りは先送りされた。年金支給開始年齢の引き上げなどの「大玉」はまだ議論すら始まっていない状況だ。

強まる予算の硬直化

 今後は高齢化の進展に伴い、社会保障費の増大が予算全体を圧迫する構図がさらに強まるのは必至だ。その一方で、社会保障の財源に充てるはずの消費税率10%への引き上げは2019年10月に再延期されている。

 安倍晋三政権は金融緩和や大型の財政支出で企業業績を底上げし、税収増につなげることで財政再建も図るという「経済再生と財政再建の両立」を経済・財政運営の基軸に据えてきた。

 こうした「アベノミクス」による経済成長重視路線が一定の効果をもたらしてきたことは間違いない。

 だが、景気の足踏みや円高による企業業績の悪化を背景に、政府は2017年度の税収は1000億円程度の増加にとどまると見込んでいる。

 トランプ次期米大統領が米国内のインフラ投資に注力する考えを示すなど、世界的に財政支出で低成長の打破や格差是正につなげようという流れが強まっている。「政策の総動員」を掲げる安倍首相も財政出動を重視しており、財務省幹部は「予算案の総額を2016年度当初予算より削ることはそもそも想定していなかった」と話す。

 「トランプ相場」による円安・株高傾向も日本経済にとって、明るい材料と言える。