政府が2017年度予算案を決定した。一般会計の歳出総額は5年連続で過去最高を更新した。景気に配慮する一方、新規国債発行を2016年度より抑えるなどやり繰りの末に「経済再生と財政再建の両立」への体裁を整えた格好だ。小手先の調整では膨れあがる社会保障費に対応しきれない現実が一段と鮮明になってきたと言える。

 一般会計の歳出総額は2016年度当初予算より0.8%増の97兆4547億円となった。歳出総額が膨れあがったのは、全体の3割超を占める社会保障費が32兆4735億円と2016年度に比べて4997億円増えたことが最大の要因だ。

 高齢化の進行に伴い、医療が11兆5010億円、年金も11兆4831億円と、それぞれ2.0%、1.5%も伸びる。

麻生太郎財務相は12月22日に閣議決定した2017年度予算案について、消費税増税の再延期にともなう厳しい予算編成だったことを述べた上で、「全体のバランスとしてそこそこできている」と語り、経済の再生と財政健全化の両立を図れたとの認識を示した。(写真:Bloomberg/Getty/Images)

「高齢者の負担増」へ一歩

 政府は財政再建に向け、2016~18年度の3年間の社会保障費の伸びを自然増の範囲の1.5兆円程度に抑える目標を掲げている。

 高齢者の急増が確実視される中、社会保障費の膨張を放置すれば社会保障制度そのものが立ちゆかなくなる恐れがある。また、ほかの政策に充てる予算の捻出に一層苦慮しかねないからだ。

 最低限の基準であるこの目標をクリアするには、今夏の概算要求段階で6400億円だった自然増分を1400億円圧縮する必要があった。政府・与党の調整の末、医療で950億円、介護で450億円抑えることで折り合った。

 見直しに当たり、政府・与党は「年齢に関わらず経済力に応じた負担」を方針に据えた。

 焦点となった医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」の見直しでは、住民税を払う一定以上の所得がある人を引き上げの対象にする。

 具体的には、年収370万円以上で現役並みの所得がある70歳以上の高齢者について、外来医療費の上限を現行の月4万4400円から2017年8月に5万7600円に引き上げる。

 年収370万円未満で住民税が課される高齢者の上限についても、1万2000円から1万4000円にする。2018年8月からは上げ幅を拡大する。

 75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」にも手を付けた。74歳まで夫や子どもらに扶養されていた高齢者は現在、所得に関係なく保険料を9割軽減している。これを2017年4月から段階的に縮小することにした。