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 投資信託「ひふみ投信」などを運用する資産運用会社、レオス・キャピタルワークスは12月20日、25日に予定していた東証マザーズへの上場の手続きを延期すると発表した。わずか5日後に迫った上場を取り止める異例の決定を下したのはなぜなのか。同社は20日に出したリリースで「コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について投資家保護の観点から深堀りすべき事項が発生」したと説明。12月21日に日経ビジネスのインタビューに応じたレオスの藤野英人社長は「(主幹事の)みずほ証券から上場延期の要請があった」と話したが、具体的な延期の原因については明言を避けた。一方、みずほ証券は「個別の案件については回答を差し控える」としている。

(聞き手は日野なおみ)

レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長(写真:的野弘路)

なぜ12月25日の東証マザーズ上場を取り止めたのか。

藤野英人氏(以下、藤野):運用、資金繰りのほか、スキャンダルなども含めてすべて「白」だ。ある案件について主幹事(のみずほ証券)から「白なのは分かっているが、『驚きの白』にしてほしいので上場を延期してください」というような要請があった。つまり安全であるということを、より高い次元で説明してほしいということだ。

発表によると内部管理体制の有効性が問題になったとのことだが、具体的に何について要請があったのか。

藤野:当社の中で以前からあるプロセス、仕組みについて、「完全無欠であることを説明してくれ」と言われた。そのプロセスは上場審査の対象だったので、仕組み全体をヒアリングされる中で聞かれていて、その時には特に問題になっていなかった。

要請があったのはいつか。

藤野:12月19日の午後7時半くらいだったかと。寝耳に水だった。明治大学で授業をしていたら、授業の終盤に電話があり、「戻ってきてくれ」と社員から言われた。最終的には20日夜に取締役会を開いて延期を決議した。

19日に東証一部に上場したソフトバンクの株価が売り出し価格を大きく下回った。このような時期に延期になったのは、かえってよかったとの見方もある。

藤野:我々の資金調達は小さく、それほどキャッシュが必要なわけでもない。上場して株価が振るわないよりも、上場が止まった時の方のダメージが大きい。「あいつら黒だったんじゃないか」「裏に問題があるんじゃないか」とも思われかねない。(延期になったことで)投資しようとしていた人たちとの信頼関係にも影響するし、ロードショー(投資家への会社説明)もやり直さないといけない。

 私たちはずっと「上場はいつやっても成功だ」と言ってきた。相場の地合いは関係ない。地合いが悪い時は調達金額が低くなるが、長い目で見れば多くの投資家に喜んでもらえる可能性があるからだ。

 地合いがいい時に上場したって、そのうち地合いが悪くなれば株価は下がる。そうすると、あとは罵詈雑言の嵐になるはずだ。2年前に上場を決断をした時に、2年後のマーケットは分からなかった。根本的には、「出た時がベストだ」と考えている。その考え方は今も変わっていない。

主幹事の上場延期の要請には納得したのか。

藤野:納得できるかどうかはノーコメント。そう言えば分かってもらえるかと。

改めて上場するとしたらいつごろになるのか。

藤野:「驚きの白」であるということを示して、再度、上場の承認をいただいて、発行決議をする。ロードショーもやり直すので数日後に、というわけにはいかない。

では「驚きの白」にするまでの時間は。

藤野:早ければ2~3日、長ければ1カ月ぐらいか。黒を白にするということは、問題点があって法的瑕疵を除きなさいということ。グレーを白にしなさいということは、法的にギリギリな案件をOKにするということ。それらはどうすればいいのか分かりやすい。ただ既に法的にも安全なものを、さらに安全であると証明するという、よく分からないことをやらないといけない。

主幹事の証券会社との信頼関係は。

藤野:まあ普通に考えると難しい。ただ、我々は一般的ではないかもしれないし。

主幹事を変える可能性もあるのか。

藤野:それもノーコメント。このまま夫婦関係を続けるのか、円満離婚するのか、それとも離婚訴訟をするのか。主幹事を変えると上場申請からやり直す必要があるので1年半ぐらいかかってしまう。そのままであれば2月後半から3月に上場できる可能性もあるけど、また直前に(ほかの案件で)「驚きの白にしてください」と言われるかもしれない。