我々はアイデアがまだまだ足りない

中期経営計画で金融事業に力を入れるとしています。進ちょくを教えてください。

高柳:これはコンビニの機能強化の一環ですよね。今持っている機能はポイントです。我々の強みは店舗数と集客。毎日1600万人ぐらい来ていただけているわけで、この情報をどう使うか。その仕組みを誰と組んで作るのが一番良いのかを一生懸命、考えているところです。いくつか候補の方々と、いろいろお話させていただいている段階です。

 「ファミマ電子マネー」をやろうと思ったら、半年くらいでできると思います。しかし、それでは面白くありません。我々がやりたいのは単なるキャッシュレス化ではなく、そこに何かを加えたものです。日本でできるとは思いませんが、究極のモデルで言えば、例えば中国のアリババグループが展開している「アリペイ」のサービスです。アリペイはAさんには100万円まで貸付枠を与える、といった与信ができたり、資産運用や保険のようなものも扱っていたり。極端なことを言えば、そういうものをやりたいと思っています。

 具体的にはいろいろなところで言っていますけど、いつまでも迷っていても遅れてしまうので、これはもう1年以内にと決めています。来年の今ごろまでには、具体的なものを出したいと思います。

ファミリーマートはコインランドリーやフィットネスにも事業領域を拡げる予定です。

高柳:機能追求という意味で、とても面白いと思います。ただ、立地などの問題から普遍的にできるモデルではなく、1万8000ある全店舗にあまねく適用できるビジネスではありません。だから全店舗の機能を追っていくものと、個別の店舗の機能追求という2つがあると考えています。前者も面白いですが、より大事なのは後者の1万8000店舗で展開できる機能です。我々はフランチャイズ事業を展開しているわけですから、加盟店の皆さん全員に新しく付与できる機能が必要です。その点で、我々はまだ弱いのは認めざるを得ません。

 だから金融事業も含めて、注力していこうと考えています。コンビニというのはどんどん“万屋”になってきていると思います。「これはある店舗ではできるけれど他ではできない」というものではなく、誰にとっても万屋であることを考えなければなりません。それがコンビニの機能強化だと思います。まだまだ、我々はアイデアが足りないかもしれませんね。

ガソリンスタンドで苦労した教訓を生かしたい

この先、コンビニ業界全体で店舗数が飽和する中で、いかにシェアを上げていくかという競争になっていくのでしょうか。

高柳:「シェア」というのは、もう店舗の数で測る状況ではないと思っています。店舗数が増えても、トータルの売り上げが増えなかったら仕方がありません。現実を見れば、人口は減っています。本当に人口減のインパクトが来るのは、これからだと思うんですよ。その中で店を増やすという戦略も悪いとは言いませんが、それよりは、今ある店舗の機能追求などにお金を使うべきでしょう。

 その意味で、サークルKサンクスを買収したのは大正解だったのです。シェア拡大のためにこれを一店ずつ作っていたら10年かかります。ほぼ飽和状態になったところで、時間をかけずに一気にシェアを取ったというのは、とても意味があります。

業界全体で出店を競うのは、もうそろそろ一段落ですか。

高柳:業界全体のことは分かりません。いろいろな戦略の方がおられるので。ただ、僕には昔のトラウマがあるんです。伊藤忠時代に、石油のビジネスをやっていたので、ガソリンスタンドの教訓が刻まれているんですよ。ガソリンスタンドは、ピーク時には6万店を超えていたのですが、今は3万店程度に減っています。

 先日の衆議院選挙で、気が付きませんでしたか。投票所の数も年々、減っているんですよ。ピーク時には5万カ所を超えていましたが、今回の選挙では約4万7000カ所でした。

 すごくシンボリックだと思いませんか。人口が減っていく中で店を出店し続けて、競合からシェアを取っていくという考え方もありますが、それはガソリンスタンドがみんなで疲弊していった競争と同じだよなと僕は思ってしまうのです。その渦中にいましたからね。もう体力戦、消耗戦になって、結局誰が得したのか分からなくなってしまう。

 しかも、高齢化が進めば、私もそうですが、量を食べなくなります。そうした中で量を追い続けることが本当にいいのか、かつてガソリンスタンドで苦労した経験があるので、しっかりと戦い方を考えていきたいと思います。

■変更履歴
4ページ目の小見出しが「~商品・効率・機能の改革に送れ」となっていましたが、「~商品・効率・機能の改革に遅れ」の誤りでした。該当箇所は修正済みです。[2017/12/25 9:30]