中間層の減税幅は小さく、企業や富裕層の恩恵が大きい

 「歴代政権で誰もできなかったことを成し遂げた」。ポール・ライアン下院議長など共和党指導部とともに演説に臨んだトランプ大統領は税制改革の勝利を高らかに宣言した。共和党現職にとっても支持者に向けた実績ができて一安心だろう。ただ、今回の税制改革が共和党に中間選挙の勝利を呼び込むかどうかは不透明だ。

 「相対的に中間層の減税幅が小さい」。米ユーラシア・グループのジェフリー・ライト氏がこう指摘するように、今回の税制改革は企業や富裕層の恩恵が大きい。

 個人所得税の引き下げや子女控除で中間層も恩恵を受けるが、法人税減税を恒久化するために個人所得税の引き下げは2026年までという期限が設けられた。2026年以降は延長すると共和党は述べているが、延長されるかどうかはその時になってみないとわからない。減税規模も所得が増えるにつれて上がっていく。中間層が企業の犠牲になった格好だ。

 ウォールストリート・ジャーナルとNBCが実施した世論調査によれば、回答者の41%が税制改革について否定的な見方を示した。それも企業や富裕層のための税制改革と捉えているからだだろう。「税制改革は中間選挙の争点になる」とライト氏は言う。

 また、減税によってトランプ政権が主張する3%以上の経済成長が実現するかどうかも定かではない。

減税には小さな政府を実現するという面も

 法人税が減れば設備投資や雇用の増加が理論上は見込まれる。だが、米国は完全雇用に近い状況にあり、人手不足が深刻だ。減税による需要喚起も期待されるが、経済状況が過熱することでFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速、減税の効果を打ち消すかもしれない。

 「保守派が望んでいるのは連邦政府の縮小」。米シンクタンク、ヘリテージ財団のジェイムズ・カラファノ副所長が語るように、減税には連邦政府の税収を減らすことで小さな政府を実現するという面もある。共和党の保守派にとっては大勝利だが、それが多くを占める無党派に響いたかどうかは中間選挙が近づくに連れて明らかになるだろう。試合はまだ終わっていない。