12月14日に自民、公明両党が決定した2018年度の与党税制改正大綱は個人の増税が相次ぐ一方、企業向けの減税措置を多く盛り込んだ。差し引きで年間約2800億円の増税となる。働き方の多様化への対応や賃上げ促進などの目的が語られるが、政治的思惑が改正論議を左右する構図が鮮明だった。舞台裏を検証する。

「国際観光旅客税」の導入などで剛腕を発揮した菅義偉官房長官(写真:AP/アフロ)

 今年も年末の恒例行事である与党の税制改正大綱がまとまった。「税は政治が決める」との理念から与党が財務省などと協議しながら議論を進める建前だが、首相官邸主導の政策決定が顕著な安倍晋三政権では官邸の意向を踏まえながらの論議という構図がより鮮明になっている。

官邸、財務省ともに「満足」

 そんな中でまとまった2018年度税制改正だが、官邸、財務省双方から「満足」との評価が聞こえてくる。ともに「取りたいものをほぼ取ることができた」(財務省幹部)ためだ。

 働き方の多様化を踏まえ所得税を時代に合った姿へと見直す。デフレ脱却と経済再生に向け企業による賃上げと設備投資を税制面で後押しする──。与党税制改正大綱はこうした考え方を重視したと強調する。

 最大の焦点だった所得税改革では働き方の多様化に対応するため、すべての納税者が受けられる基礎控除を10万円増やす。一方で会社員向けの給与所得控除を年収850万円以下は10万円減らし、850万を超える人は控除額を195万円で頭打ちにする。

 この結果、22歳以下の子どもや介護が必要な人がいない年収850万円超の会社員ら約230万人が増税となる。増税額は900億円となる見込みだ。高額の収入を得る高齢者などの公的年金等控除も減額する。

 たばこ税については、紙巻きたばこは18年10月から4年かけて1本当たり3円増税する。加熱式たばこは5年間で段階的に税率を引き上げる。一連の見直しでたばこ税の増税額は約2400億円にのぼる見通しだ。

 実は、今年10月の衆院選前は安倍内閣の支持率低下や自民の議席減が想定されたことなどから政権内では所得税改革やたばこ増税に慎重な見方が根強く、与党は衆院選で増税方針を明確に訴えてはいなかった。

 それが衆院選での自民の圧勝を受け、安倍政権は所得増税などに一気に踏み込むことになったのだ。