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 日立製作所は12月17日、重電世界大手、スイス・ABBから送配電などの電力システム事業を約7000億円で買収すると発表した。ABBが事業を分社し、2020年前半に合弁会社を設立する。当初の出資比率は日立が80.1%、ABBが19.9%で、4年目以降に日立が完全子会社化する。送配電網を高度に制御するIT(情報技術)部門の強みを生かし、電力システム分野で世界トップの座を狙う。

 「グローバルナンバーワンのパワーグリッド(送配電事業)を獲得できる。次期中計(中期経営計画)の方向性を示せた」。17日、都内で記者会見した日立製作所の東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)は同社にとって過去最大となる攻めの一手に自信を見せた。

日立にとって過去最大のM&Aの勝算を語った東原敏昭社長兼CEO(17日、都内)

 日立の電力事業の売上高は18年3月期で約4600億円だが、国内事業が中心。英国での原子力発電所建設も事実上とん挫しており、海外展開は課題だった。

 買収するABBの電力システム事業は、2017年度の売上高が100億ドル(1兆1000億円)。欧米に加え、中国やインドなど新興国にも販路を持つだけに、海外強化で巻き返す考えだ。

 日立の背中を押したのは、電力分野にも押し寄せるデジタル化の波だ。同社は産業分野を中心にあらゆるモノがインターネットにつながるIoT「ルマーダ」事業の強化を掲げる。今期、同事業の売上高は1兆円を超える見通しで、一定の成果は生まれつつある。今回の買収でも、IoTなどの最新技術を駆使して、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの拡大によるエネルギーシステムの分散化を進めていく考えだ。

 もっとも買収に伴うのれん代は約5900億円とリスクが伴うのも事実。「電力×IoT」で狙い通りのシナジーを出せるかどうか。買収の成否は、日立が得意とするIT力が問われることになる。