トヨタ自動車は14日、小型SUV(多目的スポーツ車)「C-HR」を発売した。小型SUVは2010年ごろからブームが加熱し始め、国内各社も先だって新車を投入している。トヨタは成熟した市場への後発参戦となるが、年間販売台数は17万台と意欲的な目標を掲げる。
トヨタ自動車が1994年に発売した小型SUV「RAV4」。モノコック構造を採用するクロスオーバーSUVとしては先駆的な車種だったが、主要市場の北米の顧客要求に合わせてサイズアップしており、国内販売は既に中止している。
2006年からダイハツ工業のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けていた「ラッシュ」も全面改良のないまま販売停止した。C-HRは世界中で加熱する小型SUV市場に本格参入できる待望の新車だ。

トヨタによると、2015年の国内の小型SUV市場は20万台を越える。国内メーカーでブームの口火を切ったのが日産自動車で、2010年に「ジューク」を発売。2013年にはホンダが「ヴェゼル」を投入し、2014年度と2015年度、SUVの国内新車販売台数でトップを獲得した。スズキやダイハツも軽自動車の小型SUVの新車を投入しており、トヨタは明らかに出遅れている。C-HRの開発責任者、古場博之氏も「もう少し早く出したかった」と話す。
TNGA導入で出遅れ
C-HRの開発に着手したのは2010年の初め。4年程度とされる平均的な開発サイクルと比べて長引いた背景には、部品の共通化を進める新設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の導入がある。
C-HRは昨年発売の4代目「プリウス」に続くTNGA導入第2弾。プリウスと同じくCセグメントのプラットフォーム(車台)を使っているが、車体の傾きを抑制する「スタビライザー」など一部の部品に変更を加えた。
MS製品企画チーフエンジニアの小西良樹氏は「Cセグメントでプラットフォームを1つに集約するのが理想だったが、車高を上げるとどうしてももう1つは必要になると開発途中で考え直した」と振り返る。こうしたプラットフォームの見直しに時間をかけたほか、各車種の個性を磨き上げたいチーフエンジニアと、相反するTNGAの思想を擦り合わせるための議論も繰り返した。
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