世界展開をにらんでの国内マザー工場

 20年ぶりに新工場の建設を決断した背景には、国内の需要喚起に自信を持っている側面もあるだろう。カップヌードルなどが好調で、国内の生産数量は過去最高を更新し続けている。

 国内の全需も伸びている。日本即席食品工業協会によると2015年の国内生産量は前年比4%増の約56億4500万食だった。

 一方で、世界展開をにらんでの国内での新工場という意味合いもありそうだ。

 新工場で省力生産を実現できる意義は大きい。世界的に労働力が不足しており、労働力に頼っていると、世界展開の障害になりかねないからだ。

 「今までは労働志向型で、労働力が安い国では一番シンプルな機械を入れて、多くの人を投入していた。どの国でも人件費が上がってくれば、(労働志向型ではなく)、日本のスマートファクトリーの設備を導入することで品質と効率性を両立できる。海外で設備を導入しないのであれば、日本で生産した即席麺は輸出産品になるかもしれない」

 安全で高品質の即席めんを基本的に全自動で作れるようになれば、各地の需要に応じて工場を建設し、迅速に生産品目を変えられることもできる。

 国内の新工場は、国内需要に応えるためだけでなく、世界展開を進めていくうえでの意味が大きい。「ITやロボティクスを徹底的に活用することで日本の産業は強くなる。新工場は日本の産業の競争力を高める原点になる」と安藤社長は語った。