低コストで大量生産したコンテンツをSEOするという効率的なメディア作りを追求した結果、DeNAはブランドや企業価値を毀損するという結果になりました。この手法をDeNAに持ち込んだのは主に「iemo」です。2014年に、「MERY」も含めて2つのメディアをDeNAが50億円で買収した当時から、著作権の問題は指摘されていましたし、買収額が高すぎるとの声もありました。こうなった今、当時の買収判断をどう思いますか。

守安:買収額については精査をした結果です。iemoはインテリア、ファッションはMERYということで、この手法はほかのジャンルにも広がるよねと。食や旅行が空いているよねと。まさに今、(複数のキュレーションサイトのプラットフォームである)「DeNAパレット」としてやっているような大きなビジネス戦略を描いた上での買収ですし、金額も妥当だと判断しました。今でもそう思っています。

 コンテンツの中身に関しては、もともとグレーだよねという認識でいました。ただし、黒か白かなかなか線がひきにくい。判断しにくい。ですから、完全に白にしていかなければいけないと思っていました。

 一方で、スタートアップの良さもあるわけです。我々はゲーム事業の業績が下がる中で、無料通話アプリの「Comm」をやったり、音楽配信アプリの「Groovy」をやったり、けっこうなコストをかけて新規事業に挑戦しましたが、ことごとく失敗しました。以前は「モバゲー」を初めとしてうまく立ち上げができていましたが、大企業になるにつれ、この数年間はうまくできていないという事実がありました。

 かたや、「メルカリ」や「スマートニュース」といったスタートアップ企業が成長している。その中で、キュレーション事業が始まり、(買収後に)グレーから白にしていかなければいけないと思う一方で、成長も維持しなければならないという思いがありました。スタートアップの良さも残さなければ、当社に買収されずに独自に成長した方がよかった、となりかねない。今思えば、そのバランスの取り方を間違えたというのが、私の反省です。

WELQの再開は「難しいという認識」

ゲーム事業が落ち込む中、次の新たな柱を早期に作り、マネタイズしなければいけないという「焦り」もあったのでは?

守安:それは、プレッシャーはあります。これだけゲーム事業が下がっている中で焦りやプレッシャーがないと言えば嘘になります。その中でバランスを失い、やり方が間違っていたことがあったのかもしれません。

iemoをDeNAに売却した村田マリ氏は、その後、DeNAの執行役員になり、キュレーション事業のトップとしてWELQも含めた9サイトの成長をけん引しました。彼女の責任について、どうお考えですか。

守安:現場で何があったのか、かなりの部分がわかっていませんので、そこも含めて、第三者委員会の結論を待ちたいと思います。今の段階で、誰に責任があるとは明言ができない。責任の所在は誰にあるのか、しいて一人挙げろと言われたら、それは社長である私です。

休止中のサイトは、第三者委員会の調査を経て、編集チェック体制を見直した上で、再開という運びになると思いますが、医療とインテリアでは、チェックのやり方も厳しさも異なります。

守安:第三者委員会の結論を待たないと何とも言えませんが、医療分野に関してはかなりの難易度があり、なかなか再開のハードルは高いといいますか、実態としては難しいなという認識でいます。

キュレーション事業全体から撤退するという選択肢はありますか?

守安:これも第三者委員会次第で、どうなるのかわかりませんが、私自身は続けたいと思っています。挑戦はしていきたい。そして、やるなら皆さんから信頼されるいいメディアにしていく、ということです。