安倍晋三首相が12月下旬に米ハワイ・真珠湾を訪問することになった。現職の首相として初めての訪問を決めた背景には、日米両国の信頼を深めて「戦後」に終止符を打つ機会にするとともに、トランプ新政権や国際社会に日米協調をアピールする狙いがある。

 安倍晋三首相が12月26、27両日に米ハワイを訪問し、オバマ大統領とともに真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊することが決まった。現職首相の真珠湾訪問は初めてのことだ。今年5月にはオバマ氏が被爆地の1つである広島を訪問しており、日米首脳が太平洋戦争の象徴的な場所を訪問し合う歴史的な年になる。

2016年5月、広島市の平和記念公園で献花し、共同会見に臨む安倍首相とオバマ米大統領。(写真:Atsushi Tomura/Getty Images)

「日米の和解の価値を発信したい」

 「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。その未来に向けた決意を示したい。同時に日米の和解の価値を発信する機会にもしたい」。安倍首相は5日、真珠湾訪問についてこう語った。

 今年は1941年の旧日本軍による真珠湾攻撃から75年の節目にあたる。安倍首相とオバマ氏は旧日本軍の攻撃で沈没した戦艦アリゾナの上に立つ記念館でそろって献花し、所感を述べる予定だ。また、安倍首相はオバマ氏との最後の首脳会談も行う。

 オバマ氏は5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の際に現職の米大統領として初めて広島の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花。被爆者らの前で核廃絶への決意を改めて強調した。

 日米両国の間では、歴史問題を巡る和解の意義をアピールする機会として、安倍首相の真珠湾訪問がかねてより検討課題になっていた。

 政府関係者によると、現地時間の12月7日に行われる追悼式典に合わせて安倍首相が訪問する案も浮上していた。ただ、「謝罪の有無」に焦点があたる懸念があるうえ、臨時国会が延長されたことなどを踏まえ、休暇中のオバマ氏と合流する形とする12月末の訪問が固まったという。

 安倍首相がこのタイミングで真珠湾訪問を決めたのには幾つかの思惑がある。

 まずは、第2次政権発足以降、「戦後」に終止符を打つために着実に積み重ねてきた試みの一環という意味合いだ。

 「真珠湾訪問は昨年4月に米議会で演説したころから考えていた」。安倍首相は関係者にこう漏らす。

 安倍首相はこの時の演説で「歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです」と表明し、「深い悔悟」を口にした。同時に、日米同盟を未来志向の「希望の同盟」と名付け、日米間の和解を強く印象づける内容は米国内でも一定の評価を受けていた。