中国人が日本製品を買ってくれる――。そう聞いて、まず思い起こすのは「爆買い」だろう。訪日中国人による消費を指す言葉だが、伸びは足元で一服感が出ている。爆買いはもちろんのこと、帰国後でも中国にいながらにして日本製品を買ってもらう越境ECに期待を寄せる日本の事業主が増えている。

 実際、日本の物流大手の越境ECへの取り組みは中国向けを意識したものが目立つ。

 ヤマトホールディングスは2016年4月、中国EC大手の京東商城と提携。同社の運営するJD.comへの出品・物流を包括的にサポートするサービスを始めた。日本通運も同年8月、中国EC最大手であるアリババ集団と提携し、日本企業が越境ECサイト「天猫国際」で売り出した商品の在庫管理や梱包、輸出通関などを支援し始めた。

DHLのブルワー氏は「グローバルに配送拠点を整備できているのは、日本の物流会社にはない強みだ」と強調する

中国とは異なる、欧米でのECの売れ筋

 だが、中国向けへの依存には、どうしても唐突な税制改正や、政治関連のリスクがつきまとう。また、商品の売れ筋も中国と欧米では異なり、業種によっては、欧米への販路の整備は新たなビジネスチャンスにつながる。

 米決済大手PayPalなどの調べでは、中国人が越境ECで買う商品ジャンルは「衣類・アパレル」「化粧品・コスメ」「食品・アルコール」が多い。一方、米国では「衣類・アパレル」こそ共通するものの、その次に「音楽・映像、デジタルゲーム」「おもちゃ・ホビー」など、中国人には比較的買われていない商品が並んでいる。

 DHLのような非・中国向けの越境EC支援サービスが増えれば、これまで中国向けで参入しづらかった事業主にとっても、越境ECの魅力が高まることになる。DHLのブルワー氏は「グローバルに配送拠点を整備できているのは、日本の物流会社にはない強みだ」と強調する。日本の事業主にとっても、あるいは物流企業にとっても、DHLの新拠点は一石を投じることになりそうだ。