11月末に米国・ラスベガスで開催された「re:Invent」。クラウドコンピューティングサービスを手がけるAWS(米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス子会社、アマゾン・ウェブ・サービス)が開催する年に一度の祭典である。

 2012年の第1回以来、AWSの成長と軌を一にするように大規模化しており、今年は5カ所の会場で1000以上のプログラムが実施された。注目度は高く、参加者はユーザー企業やデベロッパーのエンジニアなど4万3000人を超える。

AI、IoT、アプリ開発環境の向上に力点

 例年、新機能や新サービスの発表が目白押しのre:Invent。今年はAI(人工知能)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、アプリ開発環境の向上など、コンピューティング能力そのものよりもクラウド上で提供する機能に力点が置かれていた印象だ。そして、その機能もAWSの顧客だけでなく外部に開放する方向に進みつつある。

AWSを率いるアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)

 その背景にあるのは顧客の意識の変化だ。

 クラウド市場は急成長が続いており、今後も市場の拡大が期待されている。ハイテク調査グループのウィキボンによると、2015年に800億ドルだったクラウド市場の規模は2027年には5250億ドルに拡大する見込みだ。グーグルやマイクロソフトも猛追しているが、AWSはクラウド市場で3割のシェアを持っており、頭一つ抜け出している。

 もっとも、コストや豊富な機能、セキュリティなどを考えてAWSの活用に踏み切る企業は相次いでいるが、すべてをクラウドに移行するのに抵抗を感じる企業は少なくないようだ。重要なデータは自社サーバーの中に残しておきたい、仮想マシンの中に置いているアプリはそのまま使いたいという声もある。それぞれの環境下でシームレスにアプリを展開、管理したいというニーズは根強い。

 「顧客が望んでいるのは、一つのクラウドにすべてを移行するのではなく、既にある環境とクラウドをつなぐこと。実際、異なる環境でアプリケーションを動かせるようにインフラを再構築し始めている」。オープンソースソフトウェア大手、米レッドハットのポール・コーミア製品・テクノロジー部門社長は指摘する。