世界一の超高齢社会・日本

 世界トップクラスの長寿国である日本。人々が長生きを享受できる社会は望ましいことだが、それは同時に、世界で例を見ない「超高齢社会」を意味する。今や日本人の4人に1人が「65歳以上」の高齢者。人口減少と高齢化が同時進行する中で高齢者の「健康格差」問題を読み解くために、その背景にある「介護」と「認知症」の問題について考えていきたい。

 そもそも、日本の高齢化の何が問題なのか。それを丁寧に分析してみると、日本は平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードという3点で、世界各国がまだ経験したことのない高齢社会へと歩んでいることがわかる。

 まず平均寿命だ。厚労省作成の「簡易生命表」によれば、日本人男性の平均寿命は2013年で80.21歳と前年を0.27歳上回り、初めて80歳を超えた。これは香港(80.87歳)、アイスランド(80.5歳)、スイス(80.5歳)に次ぐ世界4位で、前年より順位を一つ上げた。

 女性の平均寿命も前年より0.2歳延びて86.61歳となり過去最高を更新。2年連続の「世界一」となった。日本に続くのは、香港(86.57歳)、スペイン(85.13歳)、フランス(85.0歳)、スイス(84.7歳)などだ。平均寿命がさらに延びた背景には、各年齢でがんや心疾患、脳血管疾患、肺炎などの死亡状況が改善したことが挙げられる。

 WHOによれば、人口の高齢化は世界的潮流で、2012年の世界平均寿命は、女性72.7歳、男性68.1歳で、1990年時点より6歳も長くなっており、高齢化は世界共通の課題ではあるが、とりわけ日本の平均寿命は、WHO加盟国の中で突出しており、「世界一の長寿国」とされる所以となっている。

 次に高齢者の数を見て行きたい。内閣府がまとめた2017年版「高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者人口は2016年に3459万人となり、前年より67万人増えた。日本の総人口(1億2693万人)に占める65歳以上の高齢者割合(高齢化率)も27.3%と前年より0.6ポイント上昇し、過去最高を更新した。

図1-4 日本の高齢者の人口比
図1-4 日本の高齢者の人口比
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 男女別では、65歳以上の男性が1500万人、女性が1959万人。また75歳以上の人口は1691万人で、総人口に占める割合は13.3%。つまり、8人に1人が75歳以上の後期高齢者という状況である。

 最後に、高齢化率を整理したい。すでに、日本の高齢化率は、他の国々が到達していない水準にあるが、これまでの高齢化のスピードが速いのが大きな特徴だ。一般に、65歳以上の人口が7%になると「高齢化社会」と位置付けられ、14%に達すると「高齢社会」と呼ばれる。日本はこの高齢化社会から高齢社会に至る期間が1970年から1994年までの24年間だった。欧州で最も高齢化が速いドイツでも、1930年から1972年まで42年かかっている。フランスでは1865年に7%に達した後、14%になったのは114年後の1979年といわれる。さらに2007年には高齢者の人口比が21%を突破した日本。21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれることから、日本は世界一の超高齢社会を迎えたということになる。

 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2017年推計)」によると、高齢者人口は今後も増え、2042年に3935万人でピークを迎える。その後は減少に転じるが、高齢化率は上昇する。その結果、2060年には高齢化率が38.1%に達し、2.6人に1人が65歳以上となる。75歳以上も総人口の26.9%となり、3.7人に1人が75歳以上となる。2060年時点での平均寿命は、男性84.95歳、女性91.35歳になるとの予測だ。

図1-5 高齢者の将来推計人口
図1-5 高齢者の将来推計人口

 こうしたなか、国や地方自治体は、高齢者の平均寿命を延ばす方策から、生涯のうちで病気や障害がなく過ごせる期間を意味する「健康寿命」を延ばす方策に転換している。

 人生の最後をいかに過ごすかは、人間にとって極めて重要な意味を持つ。平均寿命も重要な数値だが、高齢者が自立して生活できる「健康寿命」の延長が重要な位置付けになってきているのだ。

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