世界が注目する中、トランプ次期米大統領と会談した安倍晋三首相。早期の関係構築を目指す安倍首相と過激路線からの修正を図るトランプ氏の思惑が合致した初顔合わせとなった。手応えを感じる安倍首相だが、日米双方の課題解決につなげられるかは見通せない。
米ニューヨーク中心部にそびえ立つトランプタワー。世界が注目する中、11月17日(日本時間18日)にこの自宅部分で行われた安倍晋三首相とトランプ次期米大統領の会談は当初予定の倍となる1時間半に及んだ。

異例の初顔合わせ
日本の首相が就任前の米次期大統領と会談するのは異例。一方、大統領選後、トランプ氏が外国首脳と直接会談するのは初めてだった。各国からの要請を断り、実質的な外交デビューの舞台として安倍首相との会談を選んだ格好だ。
関係者によると、現職のオバマ大統領への配慮や政権移行準備段階のトランプ氏が外交・安全保障分野などで方向性を示すことへの懸念などから、日本政府とトランプ氏側の調整で今回の顔合わせを「非公式会談」とすることが決定。日本側の同席者を通訳だけに限定し、双方が会談の具体的な内容を伏せることも申し合わせた。
トランプ氏側はトランプ氏が頼りにする長女のイバンカさんと夫のジャレッド・クシュナー氏、さらに大統領補佐官(国家安全保障担当)への起用が決まったマイケル・フリン前国防情報局長が同席した。
「ともに信頼関係を築いていくことができる、そう確信の持てる会談だった」。会談後、安倍首相はこう強調した。
会談の詳細は明らかにしなかったものの、「同盟というのは信頼がなければ機能しない。トランプ氏は信頼することができる指導者であると確信した」とも語り、強固な日米同盟関係維持への自信をのぞかせた。
両氏は早期の再会談で一致。トランプ氏は会談後、自身のフェイスブックに、「安倍首相に我が家に立ち寄ってもらい、素晴らしい友好関係を始められたのは喜ばしいことだ」と記した。
では、実際の会談の雰囲気はどのようなものだったのだろうか。取材を通じて浮かび上がるのは、会談後の安倍首相の高揚感だ。
「会談は非常にうまくいった。彼は人の話を良く聴くタイプ。これはうまくやっていけると思ったね」。安倍首相は会談後、関係者にトランプ氏の印象をこう評してみせた。
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