あの方(森会長)はいつも怒っているんです

最近も組織委の森喜朗会長が、「スポーツやオリンピック、今までの約束事をご存じのない方がきて、がちゃっと壊した」と発言し、怒っていたようです。

小池:あの方はいつも怒っているんです(笑)

さすがに厳しく批判されると気になりませんか。

小池:私が?

そうです。

小池:いやいや。慣れてますから。

 私は重いものを持てませんが、御飾りではない形で日本ウエイトリフティング協会の会長を務めたこともあり、スポーツ界ががどんなものかはかなり体感しています。

 アジアユース・ジュニア大会を引っ張ってきて、羽田空港からのアクセスの良さや、安くて豪華なホテル探しなどをやりました。アジアや世界の連盟とも一緒にやりました。1つの競技だけれども、(他の競技と)同じことが言えます。

問題になっている会場については11月末に国際オリンピック委員会(IOC)、組織委、政府、都の4者協議で結論を出すことになっています。小池さん自身としてはどのような意見を持っていますか。

小池:もう意見じゃなくて、4者協議についてはスピード感を持って決めなければならない案件に対して、現実感をもって進められるいい仕組みになっています。

 (五輪施設については)11月月末から決まっていく部分が多く、道筋は明確になると思います。

 いくつかそのあと詰めていく点があるかと思いますが、会場云々についてはもうラストチャンスです。物理的に考えて最終コーナーだと思います。

ボート・カヌー会場の候補である海の森水上競技場については、いろいろ検討した結果として、今はどのような意見を持っていますか。

小池:いろいろと見て長沼ボート場(宮城県)は復興五輪としての大きな意味を持っています。IOCのバッハ会長も復興という位置付けが日本にとっていかに重要かをご理解してもらっています。

 ファイナルについてはノーコメントですが、いろいろ吟味して最終的に決めることになります。

始めは海の森にかなり厳しい指摘をしていましたが、長沼など他の施設に対する意向が、トーンダウンしていませんか。いろいろ検討する中で、考え方が変わったのでしょうか。

小池:そんなことはないですね。(長沼には)非常に熱心に取り組まれる知事がいます。復興の過程で役割を終えた仮設住宅を選手向けに使うコンセプトは非常にいいと思います。何よりも淡水であり、すぐにでも国際大会を開けます。

 どちらもレガシーという点では若干弱いと思います。インターハイだけだとちょっと弱い。海の森は国際的なレースが海水で行われるのかなと。どちらも一長一短です。

小池都知事の問題提起で都民のコストへの問題意識も高まっています。最終的にどれくらいのコストにしたら都民は納得すると考えていますか。

小池:都民のみなさんも「既設会場を使えばいいじゃないか」という声が多くあります。ネット上のアンケートで見ても、例えばバレー会場では既存会場(横浜アリーナ)と新しい会場(有明アリーナ)とのどちらかを聞くと、8割が「既存のを使え」という意見です。

 ただ、コストだけではない部分で判断をしなければならない。そこはIOCとの協議になります。

 じゃあ、いくらぐらいというのは額だけではないと思います。大事なのは納得感だと思います。おカネかけるところはケチらずに残るものにすればいいのです。

 代々木体育館は素晴らしい建築物で、世界遺産にしてもいいじゃないですか。あそこは前の東京五輪で水泳に使ったんでしょ。(国立西洋美術館などを設計した)ル・コルビュジエもいいけど、丹下健三さんが設計したレガシー(代々木体育館)は宝物ですよね。単に安くすればいいとは思ってなくて、みんなが「2020年の東京大会はここで行われたんだよね」と理解して、必要なおカネはかければいいと思います。

 ポイントはライフサイクルコストです。ここに尽きると言っても過言ではない。ソチ大会や北京大会はその問題もあり、五輪の後に(施設が)使われなかった。ロケーションにもよるんでしょうけど。

 ロンドンについては、CEO、CFOの優秀な人たちが、2012年の5年前から明確なビジョンを打ち立て、バッキンガム宮殿の目の前のビーチバレー会場は最初から決めていました。参考になるのはロンドン大会です。

 そのロンドン大会でさえ、残した会場がお荷物になっているという報道が最近あります。作った会場が本当に価値のあるものにするために知恵をしぼらなければなりません。

民間でやらないことはやらない

 そもそも必要以上の費用をかけて、その後のランニングコストを無視するということを普通、民間だったらやらない。一言で言ったら、「民間の経営ならやらないことはやらない」ということに尽きます。

 今はコストとインベストメントがぐちゃぐちゃになっている。それと、2020年を超えて、そのあとの東京の街づくりに資する大会にすべきです。それはパラリンピックです。

 ユニバーサルデザインとバリアフリーを手掛けておけば、2025年から始まる怒涛の高齢化に対応できます。

 「パラリンピックでこんなに東京は安心して暮らせるようになったよね」という街づくりですね。理想を言えば、車椅子でもそのまま駅に降りられ、出られるとか。だから、車椅子でどこでも行けちゃうように、エレベーターを付けるなどの工夫が必要です。滅茶苦茶おカネがかかるかもしれませんが。

 パラリンピックの成功や、アスリートが安心して東京で活躍できることは、その後の東京づくりのいいきっかけになるんじゃないかと思っています。