パナソニックが今年11月から販売する高額家電で、新しい売り方を模索する。販売台数という「量」を追うのではなく、狙った顧客層に着実に売る「質」を重視する。家電製品の販売はこれまで、量販店で目立つ場所を確保できるかどうかが売れ行きを左右した。量販店とは異なる販売チャネルを新たに開拓することで、商品の価値を潜在顧客に訴求する。

 新しい売り方に取り組む商品は、トレーニング機器の「コアトレチェア」とセミプロ向け調理家電「e-PRO」シリーズだ。いずれも高額商品なだけに、商品の特性が確実に理解されなければ売れない。そこで販売員がしっかりと説明できる販売チャネルを構築する。背景には、商品価格を長く維持したいというパナソニックの狙いがある。

「ジョーバ」の苦い経験を乗り越える

 「コアトレチェア」は通販専門チャンネルを運営するジュピターショップチャンネルと組み、11月中旬から発売する。オープン価格ではあるが、想定販売価格は30万円程度を見込む。

11月中旬に発売予定のトレーニング機器「コアトレ」。テレビ通販で先行販売する

 コアトレチェアは体幹を鍛えるトレーニング機器だ。乗馬のように機器にまたがり、その上でバランスを保つだけでウエストを引き締めたり、骨盤底筋などを鍛えたりする効果があるという。こうした機能は解説を交えないと消費者には伝わりづらい。しかも30万円と高額であり、競合製品も多くはないので量販店で売り場を確保することもままならない。

 商品の特徴を消費者に伝えるためには、しっかりと説明できる機会を作ることが欠かせないとパナソニックは判断した。そこで量販店よりテレビ通販で先行販売することにしたのだ。「テレビ通販にはトレーニング機器の販売ノウハウがある。商品価値を狙った層にきちんと訴求するには最適な手段だ」(パナソニック)。

 パナソニックには苦い経験がある。2000年から、家庭用のフィットネス機器として「ジョーバ」を販売していたが、2015年に販売を終了していた。乗馬のように座っているだけで体幹を鍛えられることをアピールしたが、単なるダイエット機器として捉えられてしまった。商品の特性が消費者にしっかりと伝わらなくては、一過性の商品で終わってしまう。

 今回はその反省を生かし、再挑戦する。30分間の番組をフルに使って、商品の特性をみっちりと伝えることにしたのだ。ジュピターショップチャンネルでは週末の朝に放映する。今回の想定顧客層は40~50歳代の働き盛りの世代。仕事や家事に追われ、昔のようにきつい運動はできないが体型を維持したい消費者がターゲットだ。実際、40~50代になるとメタボリックシンドロームと診断されたり、下腹が出てきたりと不安要素を抱えている。

 これらの世代がよく視聴する時間帯に放映することで、悩みを解決できることをアピールする。「量販店とも競合することなく、潜在的な顧客層を開拓できる」(パナソニック)。

 テレビ通販で3カ月間販売し、コアトレチェックの認知度を高める。そのうえで、2017年2月から量販店でも販売を開始する。2018年度にはトレーニング家電の事業規模を50億円に育てようとパナソニックは考えている。