マツダの小飼雅道社長は報道各社とのインタビューで2019年をメドにEV(電気自動車)を投入することを表明した。PHEV(プラグインハイブリッド車)の導入は「2021年以降」としている。自動運転技術に関しては、あくまで「人が主役」という前提で開発を進める方針を示した。
マツダは内燃機関や走行性能を磨き上げた独自の低燃費技術「スカイアクティブ」を武器に、リーマンショック後の4期連続最終赤字から立ち直った。しかし、全面改良車が長期間登場していないことや値引きに頼らない販売方法へ変更したことなどで、足下では国内、北米市場での販売低迷が続く。新たな成長戦略を示し、構造改革は次の段階に進む。

小飼雅道社長(以下、小飼):15日開幕の「ロサンゼルス自動車ショー」でSUV(多目的スポーツ車)「CX-5」の新型車を発表した。グローバル販売の4分の1近くを占め、収益性も高い旗艦車種。この商品を機に、ステージ2の構造改革をリードしていく。
構造改革ステージ2では新世代のスカイアクティブ技術の開発・導入を進めていく。また、電動化技術では、EVを2019年に導入したい。PHEVは2021年以降に投入する前提で研究開発を進めている。こういった電動化については(昨年、包括提携を結んだ)トヨタ自動車との協業を検討中だ。
安全・自動運転技術も強力に進めている。例えば「i-ACTIVSENSE」。レーダーやカメラによる後方車や歩行者の検知と、それに伴う自動ブレーキやヘッドライトの自動切り替えをする。道路標識や速度制限を検知してウインドーガラスに示すなどの技術の導入を進めていきたい。
考え方としては、マツダらしい「人が主役の自動運転技術」。機械がすべてコントロールする方式ではなく、あくまで人間がハンドル、ペダルなどを操作する。しかし、運転手の体調や歩行者の飛び出し検知をトリガーにして、自動運転技術が人間をオーバーライド(手動操作と自動操作を切り替える)して車をコントロールする。
また需要が高まっているSUV系を柔軟に生産する「スイング生産」方式を強化する。例えばSUVの需要が増えたときには、A拠点でのSUV系の生産を増やし、A拠点のセダンなどを減らしてB拠点に移す。あるいはC拠点のSUV系の割合を増やす。このように工場間で生産の補完関係を構築する。これは基本的な設備構成が全部一緒だからできること。工場の繁閑の差を平準化して、労働環境を改善することもできる。
具体的には、本社工場(広島市など)で流ている小型SUV「CX-3」を山口県の防府工場の第1工場で生産できるようにする。7万台以上のCX-3を防府に移すことができる分、広島でしかできないCX-5などの増産が可能になる。
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