「2分の1」に明確な根拠なし

 通常、市場拡大再算定の適用に当たっては、定例の薬価改定前に実施される調査で判明した実際の年間販売額に基づいて下げ幅が決まる。だが、緊急見直しとなった今回は、厚労省が独自に推計した2016年度の年間販売予想額1516億円に基づき、50%の下げ幅が決まった。

 小野薬品による2016年度の年間売り上げ見込み額は1260億円。厚労省はここに、①流通経費(いわば卸業者のマージン、医薬品産業実態調査に基づく2012-14年度の平均値7%)、②消費税(8%)、③乖離率(卸業者による医療機関への納入価格と薬価の差〈値引率〉、2015年度調査データの「2分の1」と設定)、④2016年度の効能追加分――の要素を加味して、オプジーボの年間販売予想額を1516億円を超えると見積もった。

 このうち③の乖離率については、具体的には、2015年度薬価調査の「その他の腫瘍用薬(注射薬)」の平均乖離率6.9%の「2分の1」と設定した。

 「2分の1」という数字に関し、厚労省は「明確な根拠はないが、あくまで保守的に、厳しく見積もるため」と説明。乖離率を高く見積もるほど、予想年間販売額は高くなり、少なく見積もれば、その逆となる。仮に、平均乖離率6.9%の「3分の1」とすれば、年間予想販売額は1500億円を超えず、オプジーボの下げ幅は25%にとどまった。

 医療機関ごとオプジーボの乖離率は異なるものの、医療現場からは「画期的新薬であるオプジーボはほとんど値引きに応じてくれない」(複数の高度急性期病院の院長、薬剤部長ら)との声が多い。「平均乖離率6.9%の『2分の1』ではなく、『3分の1』という数字でも違和感はない」との意見も多く聞かれた。

 オプジーボを巡っては、社会保障費の抑制が課題となる中、首相官邸や政府の経済財政諮問会議などが大幅引き下げを求めていた。米国や英国でのオプジーボの価格は日本の現行薬価の半分以下にとどまる。10月下旬以降、政府サイドから厚労省に対する引き下げ圧力が強まり、「50%下げはほぼ既定路線」とも目されていた。実際、その通りの結果となった。

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