「You're fired!(お前はクビだ)」で人気に

 ビジネスの交渉を通して感じたことは、トランプ氏は、過去のしきたりなど一切気にしないということです。アンフェアなことには、はっきりとノーと言う。逆に言えば、フェアで、お互いにウィン-ウィンの関係を築けるのなら、ドラスティックな変化を厭わない。

 トランプ氏をホスト役にしたテレビ番組「アプレンティス」で、参加者に対して「You're fired!(お前はクビだ)」と宣告する姿が人気を博しましたが、それも、トランプ氏がフェアなジャッジをすることが視聴者にウケていたのだと思います。今後、日本政府にとっては、面白い交渉相手になると思いますよ。戦後、日本は敗戦国として、様々なルールを押し付けられてきました。フェアでないルールがあればリセットし、新たな日米関係を築くチャンスかもしれません。彼の性格を知っていると、そう思うんです。

 選挙キャンペーン中に、様々な暴言を吐いていたことについては、私自身はちゃんと見ていないのでよく分かりません。ただ、トランプ氏は、少年っぽい一面がある。メキシコとの国境に壁と作ると言った主張も、思っていることをぱっとストレートに言ってしまう。言い方が、直球なんです。

 中部や南部の白人層で、格差の拡大などにもやもやした気持ちを抱いていた人たちに、ストレートにメッセージを投げかけた。不満を抱えた米国人のストレス発散を狙ったマーケティングとも言えるでしょう。多くの人が心の中で多少抱いていたもやもやした気持ちを代弁することで、爽快感を与えたのだと思います。

 選挙に勝ってみると、オバマケアにしても、すべてをやめるわけではないというようなことを発言している。トランプ氏は、選挙キャンペーンの中で、どのようなトランプ像が国民の中に出来上がったか、良く分かっていると思いますよ。これからは、自分に嫌悪感を抱いている人たちに対して、その向かい風をどのように追い風に変えていくか、考えているはずです。

 その意味で私は今後、長女のイヴァンカ氏が重要な役割をはたしていくと見ています。イヴァンカ氏は、非常に賢い女性で、多くの女性から人気がある。トランプ氏からの信頼も厚い。経営者としても信頼されていて、ファッションのセンスもいい。選挙キャンペーンでトランプ氏に嫌悪感を抱いた人たちを振り向かせる、カギを握っていると思います。

 MEGUをトランプタワーの1階に2006年にオープンした時、トランプ氏は家族のほか会社の役員なども大勢連れてお祝いに来てくれました。普段、レストランのオープンには顔を出さない人でしたから、嬉しかったですね。その時、(MEGUのオーナーとしてグッドウィル・グループの)折口雅博氏も日本から来て、トランプ氏に初めて会っています。

 私はMEGUの経営から2009年に退き、それ以来、お互い忙しかったこともあり、トランプ氏との交流は直接的には途絶えています。それでも、共通の知人からは、「ヒロは元気にしてるか」と気にかけてくれていると聞きました。来年、プラン ドゥ シーとしてワシントンDCでレストランをプロデュースするので、オープンしたらトランプ大統領に招待状を送りしたいと考えています。

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