ニコ動は、動画を視聴するユーザーが投稿したコメントが画面上を流れていくのが特徴。2006年末にニコ動の試験サービスを始めたドワンゴはその仕組みを同年に特許として出願、2011年に登録された。

 ところが2007年末にサービスが開始されたFC2にも、ニコ動と同様、画面上を流れるコメント機能が付いた。外部の動画サイトの動画にコメントだけをつけられる「ひまわり動画」も同様に画面上をコメントが流れる仕組み。ドワンゴはこれを特許侵害と主張。FC2の運営実態が明らかになっていなかったことから静観していたが、前述の川上会長の問題意識から、今年、特許権侵害訴訟の準備に取りかかった。

 FC2から、ブロマガという商標権侵害でドワンゴが提訴されたのは、そんな矢先のことだった。

FC2「ひまわり動画」の画面。外部の動画サイトから動画データだけを引っ張り、画面に流れるコメントを投稿することができる

 「どういう事情なのかはわかりませんが、タイミングとしてはFC2側から先に、言いがかりに近いような訴訟をされることになりました」

 そう話す川上会長は、入念な準備を経て、今回の行動に移した。ドワンゴはブロマガを巡る商標権侵害について反訴すると同時に、特許権侵害でもFC2を提訴している。特許権に関しては、大阪市のホームページシステムも共同被告とした。ドワンゴはその理由を「FC2が提供するサービスの企画から開発、管理までワンストップで提供する会社であり、FC2本体は海外企業に偽装するためのダミー会社であると認識している」とする。

ネットに国境の壁、議論は必要

 特に特許権侵害の訴訟は、川上会長にとって問題提起の色合いが強い。

 「簡単に国境を越えるインターネットサービス。日本人向けサービスでも海外にサーバーをおけば日本の特許が無効になるという判決なら、日本の特許ってなんなんだとなる。逆の判決でも、権利は認められても、止めさせる実効性はない。どういう結果になっても、問題提起になると思うんですね」

 川上会長の読み筋は、後者。「結局、ネットに国境の壁を作るしかない。海外での脱法行為は、最終的にはサイトブロッキングをして、国として遮断しないとどうしようもないんじゃないですか。という議論をやるべきだと思っています」。

 既に中国は、違法かどうかにかかわらず、海外のネットサービスを国家で遮断している。川上会長は、自由であるはずのインターネットに壁を作ることを決して良しとしてはいない。それでも議論は必要なのではないか。ドワンゴによる提訴には、そんな問いかけが込められている。