FC2には、ユーチューブのようにユーザーが自由に動画を投稿できる「FC2動画」というサービスがあり、テレビ局やアニメ製作会社などの権利を侵害する動画が散見される。ドワンゴは、そうした一部の動画について、権利者から委託される形で、FC2に削除申請を行っていたという。ドワンゴの川上会長はこう話す。

「アニメの会社は、海外にいくつもある動画サービスを相手にいちいち削除申請をする余裕はないところが多かった。ニコ動で公式配信しているアニメ作品について、権利者から『依頼を受けた』という書類を付けて、ドワンゴが代理でFC2に削除申請してきたけれど、なんだかんだ言い訳をつけて、とにかく違法動画を削除してくれない。拒否です」
ドワンゴとは関連しないが、FC2は他にも問題を抱えていた。
2014年9月、京都府警などの合同捜査本部は、FC2と関係のある大阪市のネットサービス会社「ホームページシステム」など数カ所を家宅捜索した。容疑は公然わいせつほう助と風営法違反。FC2のライブ配信サービス「FC2ライブ」で無修正の性行為などを配信する違法行為が常態化していた。
実質的にFC2ライブなどを管理していたホームページシステムはそれを知りながらほう助していたとして、合同捜査本部は2015年4月、同社社長と、同社の元社長を逮捕した。さらに2015年12月、アニメ動画を違法に配信したとして、著作権法違反の容疑で追送検している。
流れるコメントの特許侵害でも提訴
それでもFC2における違法な状況は続いた。ホームページシステムは国内における営業組織と見られ、FC2の運営会社やサーバーは米ロサンゼルスにあるからだ。逮捕されたホームページシステムの元社長は、FC2創業者の弟。兄の創業者は米国に住んでいるとされる。

捜査機関も手を焼くFC2。「国境を超えたネット上では、どんな違法行為でも現状は取り締まれない。本来は国として真剣に考える必要があるテーマだ。単に著作権だけの問題ではない」。川上会長は、そう思い至り、著作権以外でも問題提起ができないか、検討を始めた。
そこで浮上したのが、「特許権」の侵害だった。
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