米国を除くTPP(環太平洋経済連携協定)参加11カ国が新協定の締結で大筋合意した。自由貿易圏としての規模は小さくなるが、ほかのメガFTA(自由貿易協定)交渉を刺激し、トランプ米政権への有効な交渉カードにもなり得る。メガFTAを成長戦略の柱に掲げる安倍晋三政権にとって追い風となりそうだ。

11日までベトナム・ダナンで開催された、米国を除くTPP参加11カ国の閣僚会合。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 トランプ政権の離脱で瓦解する懸念があったTPP(環太平洋経済連携協定)の再始動が決まった。米国を除く参加11カ国が新たな協定の発効で大筋合意し、アジア太平洋地域で質の高い貿易圏作りを進めるうえでの土台が再構築された格好だ。

新協定の中身は大きく変わらず

 新協定の正式名称は「包括的及び先進的な(CP)TPP」となる。

 大筋合意の内容は米を含むオリジナル版のうち関税撤廃・削減のほか電子商取引など先進的な通商ルールの多くが凍結を免れた。医薬品の開発データ保護期間など20項目については凍結し、実施を棚上げすることになった。これらは米国がTPPに復帰した場合に凍結を解除する。

 一方、カナダが求める自国文化を保護するための例外規定など4項目の扱いが合意に達せず継続交渉となった。

 新協定は6カ国で承認手続きが済めば60日後に発効する仕組みとした。日本など11カ国が2018年の早期に署名し、2019年の発効を目指している。 

 だが、カナダがトランプ政権とのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の兼ね合いで妥協しにくいなど、4項目を巡る調整や11カ国の結束への不安も表面化している。詰めの交渉が難航すれば署名や発行時期が遅れる可能性がある。

 新協定は世界のGDP(国内総生産)の12.9%、貿易額の14.9%を占める。世界最大の経済大国である米の離脱で自由貿易圏としての規模や経済効果は当初より小さくなるものの、意義は大きい。

 経済面では日本企業のグローバル戦略への追い風が見込まれる。参加国の関税の撤廃・削減に加え、企業が安心して海外に進出し、国境を越えた展開をしやすくするための広範なルール整備が進むためだ。

 例えば日本はベトナムとEPA(経済連携協定)を締結済みだが、完成車や自動車部品を日本から輸出する場合には一定の関税が残っていた。新協定でこれらの関税が撤廃されるため、輸出促進や現地の組み立て時のコスト削減効果などが期待される。

 農林水産物の輸出促進も見込まれる。さらに、ベトナムやマレーシアへコンビニエンスストアや金融機関の進出がしやすくなるなどサービス分野のビジネスチャンスも拡大しそうだ。