DeNAの今シーズンの年俸総額は推定で約20億円。12球団では最下位で、ソフトバンクの同47億円、巨人の同45億円とかなり開きがあります。球団の黒字転換を踏まえ、補強についてどうお考えですか?

南場 ようやく球団運営も黒字転換できて軌道に乗ったということもあり、補強には前向きです。選手や監督のおかげで強くなったのだから、利益は補強に回し、もっと強くなるという好循環にしていきたい。一方で、育成に投資していくことも重要だと考えています。

 私、今回の日本シリーズって、素晴らしいと思っているんです。リーグ優勝を果たした広島と日本ハムは、生え抜きの選手が非常に多く、特に育成に力を入れているチーム(編集部注:広島の年俸総額は推定で約30億円、日ハムは同27億円)。チームビルディングの考え方、それから練習に対する取り組み方、素晴らしいと思うんです。あと地域からのバックアップも非常に大きい。そうした私たちが理想とするような球団がリーグ優勝したというのは、非常に勇気づけられます。

一方で、スタジアムなど設備やソフト面での施策は?

(撮影:北山宏一)

南場 今、ファンの方々がスタジアムに行きたいのに(満席で)入れないという状況が続いています。増席を検討していますが、来シーズンはさすがに無理なので、来期までということであれば、パブリックビューイングについてはぜひ、増やしてほしいと思っています。

 私もよくスタンドの普通の席で観戦するわけです。青空の下でのビールは最高。ファンの皆さんと一緒に歌を歌ったり、ハイタッチをしたりしながら応援すると、やっぱり最高に楽しいんですね。その気持ちがスタジアムの周辺で、もっと味わえるような仕組みを検討していきたいですね。

飲食・物販も新施策で改善へ

今シーズンはオリジナル醸造ビールの販売で大きな成果を出しました。

南場 そうですね。ただ、球団の儲けばかりを追求するのではなくて、やっぱり地場を中心とした飲食店の頑張りを刺激するようなメカニズムを導入するというのがすごく重要かなと。そのためにも、私たちが始めたのは、飲食の販売データを詳細に取って、それを各店舗にお届けして一緒に分析していくという試みなんですね。

 例えば、何連勝したからこんなメニューを出しますというような、特別な企画によって売り上げを伸ばしているお店は多い。あるいは、中華街に本店があるのだけれども、スタジアムでしか食べられないオリジナルを用意している店舗さんはやっぱり売り上げを上げていて。そういうデータなんかを店舗さんに提供をして、一緒に分析して、アドバイスをさせていただき、頑張りをさらに引き出していく。

 それから、多少の入れ替え戦というのもあっていいのかなと。(新進のブランドを集めた)伊勢丹新宿店の「解放区」じゃないですけれども、横浜などの頑張っている若い飲食店がトライアルで出店できるスペースをスタジアム内に作って、そこで売り上げが上がったら、本当に出店してもらうというようなことができたらいいなと考えています。

物販についてはどうですか?

南場 今、グッズを買うのに1時間待ちなんですよ。それからすぐ品切れになってしまう。相当よろしくないので、まずは在庫管理を改善するように指示をしました。ほかにも、例えばeコマース経由で事前に応援グッズを決済、オーダーしておいて、当日にスタジアムでピッキングしていくとか、そういった会計を短くする手法も検討していますので、来シーズンのショップはすごくよくなると思います。

スタジアム全体のビール売り上げを昨シーズン比で約26%押し上げる原動力となったオリジナル醸造ビール(C)YDB