南場 三浦選手は大ベテランであっても、黙々と人一倍練習をして走り込んでいるんですね。選手もコーチも監督も、三浦選手のそういった姿勢を見て、絶賛するのですが、ファンサービスについても誰よりも率先して、やってくださったんです。ファンの皆さんとの握手やハイタッチ、それからサインボールなんかもたくさんあげていました。

 あの三浦選手がやっているんだからと、ほかの多くの選手も影響されて、やってくれました。チーム全体がファンサービスに対してとても前向きになった。それはアレックス・ラミレス監督になってからも変わりません。もともとラミレス監督は選手時代からサービス精神が旺盛ですから。とにかく、横浜がDeNAになる前と後では、そこが相当、変わったと思います。

 高田(繁)ゼネラルマネージャー(GM)も、春田・前オーナーが最初にお願いした「お客様を大切にする」という指針を着実に実行してくださった。私は2年間、みっちりと付き合いましたが、どんなときも、まずお客様のことを気にされるんです。

 「こんな雨の日にこんな試合を見せたら、来てくださったお客様に申し訳ない」。そんな言葉が試合中、最初に出るようなGMなんですよ。それから、高田GMは全力疾走しない選手を何年もかけてなくしてきた。アウトになると思っても塁に出るときは必ず全力疾走をしろと。できていない選手を怒るときは、「こんな寒い日でもファンは来てくれているんだ」という言い方をするんです。

横浜スタジアム運営会社買収の真相

南場 だから、CS進出も観客動員数も、そういったGM、監督、選手たちが一丸となってファンのことを考え、全力で努力してくれた結果だと思っています。それが9割。残りの1割が、球団スタッフの頑張り。地味な裏方にスポットライトを当ててくださったマスコミやファンの方々には本当にありがたいと思っています。

裏方の仕事と言えば、横浜スタジアムの「飲食改革」も観客動員数の増加に寄与したとされています。今シーズンから販売したオリジナル醸造ビールも人気で、スタジアム全体のビール売り上げを昨シーズンから約26%も押し上げました。こうした一体運営を可能にしたのが、今年1月のDeNA球団による横浜スタジアム運営会社の買収です。改めて、経緯を教えてください。

今年1月、DeNAが横浜スタジアムの運営会社を買収。一体的な経営が可能になった(C)YDB

南場 実を言うと、スタジアムさんと非常に緊密な関係の地元の有力者の方から、そろそろ、そういうこと(買収)を考えてもいいんじゃないか、というお話をいただきまして。その方は、45年間、スタジアムで観戦できる権利がある「オーナーズクラブ」の一員で、スタジアムさんの株主でもあります。スタジアムさんはもともと、地元の有力者の方々が中心となって作られた組織で、500人以上のオーナーズクラブが株式の62%を保有していたので、そうした有力者の声は非常に大切です。

 それで、実際に私がお会いすると、こう仰る。球団とスタジアムがこのまま別の経営を続けるよりも、しっかりと一体経営をしてもらって、力を合わせて発展した方が、「45年間、野球を観戦できる」という約束を達成できるんじゃないかと。オーナーズクラブのメンバーはそれを気にしている、と仰っていて。スタジアムさんの経営陣にも話をしてくださると仰るので、非常に誠実な方でしたし、信じてみようかなと思ったというのが発端です。