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 TPP11(米抜きTPP=環太平洋経済連携協定)が大筋合意に達した。ベトナムやマレーシアが中国に類似した自国優先のルールの導入を目論む中で、TPP11の交渉はいわば「仮想中国」との交渉という意味でも、非常に意味を持っていた。TPP11の大筋合意で、中国は巻き返しに動くのか。そして米国は。パワーゲームを深読みする。

カナダのトルドー首相の予定外の異議にあったが、TPP11は大筋合意に達した(写真:Press Association/アフロ)

 「TPP11」は最後の土壇場でカナダのトルドー首相の予定外の異議にあったものの、何とか大筋合意にこぎつけた。これは日本外交、さらに言えば官邸主導外交の大きな成果だろう。

 今年に入ってトランプ政権のTPP(環太平洋経済連携協定)離脱を受けて、一時はTPPが方向性を見失って漂流しかねない危機的状況であった。日本も外交当局は米国の反発を気にして、米国抜きTPP(TPP11)には慎重であった。しかし4月になって官邸からの指示で米国抜きTPPに大きく舵を切った。

 それからは、劇的に潮目が変わった。日本は豪州など積極派と連携を取りながら、失いかけたTPPの求心力回復に奔走した。

 その詳細については、4月25日の本稿「『米抜きTPP』、官邸が慎重論を跳ね返した意味」や5月26日の本稿「米国抜きTPP11に隠された日本のしたたか戦略」で述べたとおりである。