東芝は11月8日、2023年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画を発表した。人員削減や不採算事業からの撤退などの止血が中心。肝心の成長戦略は乏しい。銀行出身の車谷暢昭氏がCEO(最高経営責任者)に就任してから7カ月が経過したが、社内からは「時間をかけすぎた」との声も聞こえる。
中期経営計画「東芝Nextプラン」を発表した車谷暢昭会長兼CEO

 東芝は11月8日、5カ年の中期経営計画「東芝Nextプラン」を発表した。2021年度にROS(売上高営業利益率)6%以上、ROE(自己資本利益率)約10%を目指す。最終年度の23年度にはROS10%、ROE15%の水準まで引き上げる計画だ。登壇した車谷暢昭会長兼CEOは「革新的な技術開発力をテコに、社会課題の解決に貢献していきたい」と意気込んだ。

 新・中計で進めるのは、徹底した構造改革だ。米LNG(液化天然ガス)事業や英国の原子力建設事業など非注力事業からの撤退を発表。約1000人の早期退職を含め、連結従業員の5%に相当する7000人規模の人員削減にも踏み切る。調達コストも21年度には18年度比で約650億円削減する計画だ。21年度に連結売上高3兆7000億円を目指すとしているが、メモリー事業を除いた17年度の売上高は3兆9476億円だった。

 米国のLNG事業は18年度中をメドに中国企業に売却し、約930億円の損失を計上する。同事業では、20年間にわたって年間約220万トンのLNG販売の権益を持っていたが、顧客開拓に苦戦。LNG価格が乱高下する可能性もあり、最大で1兆円の損失リスクを抱えていた。撤退する英国の原子力建設事業と合わせて東芝の大きな事業リスクだっただけに、早めの「止血」に踏み切ったと言えそうだ。

 一方で、肝心の成長戦略は不透明なままだ。車谷CEOは新規の成長分野としてリチウムイオン2次電池などを掲げたが、他社に後れを取っているのが実情だ。IoTを中心に今後5年間で約8100億円の設備投資と約9300億円の研究開発投資を実施し、メモリー事業の「次の芽」を育てるとしているが、その候補は具体的に見えていない。

 ある東芝幹部は「中計をまとめるのに時間がかかったのは、(銀行出身の車谷)CEOが東芝内部のことを知らなさすぎたからだ」と明かす。車谷氏の会長兼CEO就任から7カ月。時間をかけて練り上げたはずの5カ年計画だが、リストラが中心で成長事業は見当たらないままだ。内部での議論に時間を空費しているとの声が社内から聞こえるからこそ、車谷CEOは改革を加速する必要がある。