三越伊勢丹ホールディングスが苦戦を強いられている。11月8日に発表した2016年4-9月期決算は売上高が前年同期比5.2%減の5821億7300万円、営業利益が同57.9%減の61億円だった。婦人服を中心とした衣料品が振るわず、宝飾品など高価格帯商品の販売も低調だった。外国人向けの売り上げも22.2%減と、インバウンド需要も落ち込んだ。

2016年4-9月期の決算を発表する三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長

 大西洋社長は、同日臨んだ記者会見の場で、長年の課題だった「支店・地方店」の抜本的な構造改革を明言した。支店・地方店について、「営業利益が3年連続赤字」「前年度債務超過」「今後5年間のフリーキャッシュフローがマイナス10億円以上」という評価基準で改めて不採算店舗を見定めて、早急に手を打つとした。この基準に照らし合わせると、すでに3-4店舗が該当するという。

 該当する店舗については、今後、営業終了、百貨店面積を縮小させる業態転換、他社との業務提携などを検討していくという。業態転換については、例えば、店舗の面積のうち7割では、百貨店の売り場を続けて、残り3割はテナントに任せるというような、変更も検討する。大西社長は「店舗丸ごと、フロア丸ごとをファストファッションにする、といったようなことはない」(大西社長)と話し、導入するテナントを厳選する考えだが、従来の百貨店の形態にはこだわらない考えを示唆した。

三越も「松山、広島など改善案を検討」

 大西社長は記者会見の場で、「3-4店舗は具体的に決まっているのか」という質問に対し「社内での具体的な決定事項はなく、閉店ありきではない」とした上で「松戸、府中、松山、広島あたりは、改善案を検討している」とした。千葉県松戸市と東京都府中市には「伊勢丹」が、愛媛県松山市と広島市には「三越」の店舗がある。

 2015年度の売上高は、伊勢丹松戸店は192億円(前年度比2.9%減)、伊勢丹府中店は189億円(同3.5%減)だった。松山三越は148億円(同2.6%減)で、同じ松山の「いよてつ高島屋」の344億円に比べ、半分以下の売り上げだ。広島三越も155億円(同3.2%減)と、福屋、そごう、天満屋に続き地域で4番手だ。大手アパレルなどが生産を絞り込んでいる影響から、地方や郊外の百貨店になかなか売れ筋の商品が回らない状況の中、同一地域で他店より劣勢にあると、なおさら品揃えが難しい。

 支店・地方店については、これまでも2年程度、評価基準を設けて対応を検討し続けてきたが、大西社長は「検討するだけで、実行が伴わなかった部分がある。本部が考えた戦略と、現地の意向と間で、コンセンサスが取れなかった。最終的には私の責任だ」と、構造改革の実行が遅れた反省を述べた。

 具体的な名称が出た支店・地方店の4店舗に限らず、どの店舗を対象にして、どのように改革していくかを順次、詰める方針だ。「できるだけ早く発表する。例えば、2017年秋、2018年春に実施するには、1年前にフィックスしなくてはいけない」(大西社長)とした。

 2008年に伊勢丹と三越を統合して以降、主に不採算の三越の店舗をリストラしてきた経緯がある。今年9月にも、三越千葉店(千葉市)と三越多摩センター店(東京都多摩市)を来年3月に閉鎖すると発表している。統合自体が、不振の三越を伊勢丹が事実上救済する形だったとは言え、伊勢丹の店舗を閉鎖したのは、2010年の吉祥寺店(東京都武蔵野市)だけだ。

 松戸や府中の伊勢丹は長らく、てこ入れの必要性が指摘されてきたが、あまり抜本的な対応はとられなかった。今回、大きな構造改革に踏み込むのは、大西社長の危機感の表れだろう。