ミネベアミツミは11月7日、自動車部品製造のユーシンと経営統合すると発表した。ユーシン株を1株あたり985円で買い取る株式公開買い付け(TOB)を、2019年1月末から実施する。ユーシンも同日、同社の株主にTOBへの応募を推奨すると発表。買収総額は320億円程度となる見通しだ。

統合を発表するミネベアミツミの貝沼由久会長(右)とユーシンの岡部哉慧社長

 ミネベアミツミの貝沼由久会長は同日開いた記者会見で「車載(自動車向け部品事業)だけで(現在は年1300億円の売上高が)3000億円になる」と強調。ユーシンの岡部哉慧社長は「ミネベアミツミの海外拠点、人材、高度なモノづくり技術を活用して、お客様の要望に応えられる新製品を開発していきたい」と語った。

 ミネベアミツミは東証1部上場の機械メーカー。自動車や家電、サーバーなど幅広い製品で使われる小型ベアリング(軸受け)を得意とするミネベアが、スマートフォン(スマホ)用カメラ駆動部品など電子部品を主力とするミツミ電機を完全子会社化して2017年1月に発足した。ミネベアが持つ金属加工技術とミツミの電子機器技術を組み合わせながら、コネクテッドカー(つながるクルマ)や自動運転など、電装化が進む自動車業界での取引量拡大を図ってきた。

ユーシンは自動車向けのキーシステムが主力

 ただ、部品メーカーに対する自動車メーカーの選別の目は厳しい。実績のある部品メーカーでなければ、なかなか入り込めないのが実情だ。ミネベアが自動車向け電子部品を手掛けてきたとはいえ、自動車メーカーと直接取引できる「ティア1」として振る舞えるほどの実績は乏しかった。

 自動車部品業界において、「ティア1」の座は喉から手が出るほど欲しい「立場」だ。直接取引できるようになれば、価格交渉力が増すし、自動車メーカーの新車開発に直接、関わるチャンスも出てくるからだ。

 今回、経営統合を決めたユーシンは1926年設立の老舗。キーセットなどを得意とし、2013年には仏ヴァレオのキーシステム事業を買収している。今ではホンダや独BMWなど世界の自動車メーカー30社と直接取引している。ミネベアミツミにとっては、ユーシンを傘下に収めることで、取り扱う部品の種類が増えるだけでなく、「ティア1」の座を手中に収めることになる。

 ミネベアミツミは完全子会社後もユーシンの社名を残す考え。ここからも自動車メーカーへの橋渡し役としての役割を期待していることがうかがえる。