「中国市場は短期的に不透明感はあるものの、長期的にみれば必ず成長する。トヨタ自動車にとって、とても、とても重要な市場だ」

 トヨタ自動車で営業を統括するディディエ・ルロワ副社長は11月6日、2018年4~9月期の決算発表に併せて記者会見し、中国事業の今後について熱弁をふるった。

11月6日、都内で記者会見するトヨタの営業を統括するルロワ副社長(右)
11月6日、都内で記者会見するトヨタの営業を統括するルロワ副社長(右)

 中国は年間販売台数2900万台の世界最大の市場だが、トヨタのシェアは5%前後にとどまる。「シェアが小さいということは伸びしろがあるということ」と強気の姿勢をみせるルロワ副社長。5月には中国の李克強首相がトヨタの北海道工場を訪問するなど、政治的な日中関係改善の波に乗りつつあるという自信も背景にありそうだ。

 実際、トヨタは9月には2021年までに中国工場の生産能力を現状より約35%増やす計画も打ち出している。とはいえ、クルマを造れる体制が整っても、売れなければ意味がない。では、どう攻めるか。ルロワ副社長がこの日、掲げたのは「トヨタウェイへの回帰」だった。

 経営陣自ら販売店などを巡って市場のニーズを吸い上げ、それを新車開発に反映させる。トヨタが世界中で実践し、世界トップを争う自動車メーカーへと押し上げた行動原則を中国でもう一度、徹底しようというわけだ。