SUBARU(スバル)は11月5日、完成検査の不正に関わるリコール(回収・無償修理)対象車を10万台追加すると発表した。これまで2017年末まで不正が行われていたと説明してきたが、その後の調査で今年10月26日まで続いていたことが判明したため。これで完成検査不正に絡むリコール台数は53万台となり、その費用は総額で319億円になる見通しだ。

スバルは11月1日にもエンジン部品の不具合に対するリコールを発表している。国内外で約69万台が対象で、リコール費用は550億円に達する。
検査不正とエンジン不具合。2つのリコールのスバルへの影響はどちらが大きいか。リコール費用から見ても、エンジン部品の不具合の方がダメージは大きそうだが、問題はそれだけにとどまりそうにない。
エンジンの不具合は、エンジンの吸排気を助ける「バルブスプリング」と呼ぶ、ばね部品の強度不足が原因だ。材料の中に含まれる異物が強度にもたらす影響を十分に配慮せずに設計していたという。当然、安全性を保つには部品交換が必要。だが、エンジンの構造が複雑なため、部品交換には1台あたり2日かかる見通しだ。リコール対象車の安全性をチェックすれば済む検査不正への対応とは手間が格段に違う。
エンジンの構造が複雑なのは、それがスバルが胸を張ってきた独自技術による「水平対向エンジン」だからだ。振動が少なく、重心を低くできるため、スポーツ車のように安定感のある「走り」を実現する。この「個性」が「スバリスト」と呼ばれる熱烈なスバルファンを生み出してきた。
中村知美社長が度重なる検査不正が発覚しても、販売への影響を最小限に食い止められると自信を見せていたのも、スバリストの存在があるから。7月に発表した中期経営計画でも、「個性を磨いてディファレント(他社と違う)な存在になる」ことを販売拡大の戦略の一つに位置付けていた。
そんな自慢のエンジンにかかわる今回の不具合。スバリストの離反を招きかねない危機がスバルを襲っている。
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