日本の「NIH症候群」をどう克服する?

イスラエルと日本の間のビジネスを手掛ける方からよく聞くのが「NIH症候群」、つまり「内部で開発されていないもの(Not Invented Here)を受け入れない」という日本の企業風土です。系列の部品メーカーとの結びつきが強い自動車産業は特に保守的なのではないでしょうか。

ジサペル:私自身、30年間の日本でのビジネスの経験がある。やり方は心得ているつもりだ。確かに日本の企業と外国企業が協業することに困難はあるが、十分にいい仕事ができたと思っている。我々が良い製品を持っていることを知っている日本企業もあるからだ。

 例えばイスラエルはサイバー防衛において最先端を走る国だ。私が取締役を務めている出資先の1つにも、自動車のサイバー防衛を手掛けるアルグス・サイバー・セキュリティという会社がある。車の内部もゲートウェイも、あらゆる部分の対策を持っている。

 サイバー防衛は生モノの技術だ。ウイルスやマルウェアは常に進化するので、未来にやってくる問題に備えていなくてはならない。アルグスはそんな技術を持っている。車のセキュリティーに於いては世界一の会社だと信じている。

 トヨタ(自動車)だってこうした最上のソリューションをほしがるはずだ。日本の自動車メーカーは保守的なだけでなく、品質を最も重視するからだ。

低価格の距離測定センサーに商機

他にはどのような技術が、日本の自動車産業で商機があると思いますか。

ジサペル:これも私の投資先だが、イノヴィズテクノロジーズが手掛けるライダー(光を用いた距離測定センサー)は有望だ。ライダーは高解像度で、3次元の映像解析ができ、距離も測れる。ライダーが自動運転の鍵を握るメーンのセンサーになると考えている。

ライダーは高価格が普及の障害になっています。同じイスラエル企業のモービルアイも、単眼カメラの映像解析チップを世界中の自動車メーカーに納入し、カメラをメーンのセンサーにする青写真を描いています。

ジサペル:確かにモービルアイは素晴らしいビジネスをしていると思う。ただし、私は違う意見を持っている。

 カメラは我々の眼と似た機能を持っているが、複雑な運転ができるのはその映像を空間として認識する脳が優秀だからだ。神様は実にいい仕事をした。その仕事に車のソフトウェアが追いつくにはまだまだ時間が必要だ。だから、我々はセンサーそのものをもっと賢くする。センサー自身が距離を測り空間を解析すればいいのだ。

 モービルアイが指摘するとおり、ライダーは価格がネックだ。なので、イノヴィズでは低価格のライダーを開発している。カメラと変わらない価格だ。ライダーが開発された当初は7万ドルもコストがかかった。これでは実用的じゃない。しかし、私たちは100ドルで生産できる見込みだ。5センチメートル角の立方体の中に3つの異なるチップを積んでいる。ここに価格の秘密がある。適正にデザインされたチップを選択すれば、価格は下がるものだ。