船舶の供給過剰で造船・海運市況が冷え込んでいる。造船業界に追い打ちをかけているのが高付加価値路線の挫折だ。重工各社は業界再編による局面打開を模索し始めたが、前途は多難だ。

 「度重なる下方修正、誠に遺憾でお詫び申し上げます」

IHIの満岡次郎社長(写真:的野 弘路、撮影は今年3月)

 10月24日、IHIの満岡次郎社長は2017年3月期の連結業績予想の下方修正について記者会見で頭を下げた。最近のIHIにとっては見慣れた光景だ。

 2015年3月期の第4四半期以来、毎四半期ごとに下方修正を繰り返しており、これで7四半期連続となる。2017年3月期の最終損益は当初、220億円の黒字を見込んでいたが、10月24日の会見ではそれをゼロにまで引き下げた。年間の株式配当も8期ぶりの無配とした。

 足を引っ張るのは海洋関連事業。具体的には資源掘削船やFPSO(浮体式原油・ガス生産貯蔵積み出し設備)、LNG(液化天然ガス)船搭載用の大型タンクという計3つの案件だ。

 詰めが甘く後から不都合が判明して設計や作業をやり直す、作業が想定以上に難しく計画した人員数やスピードでは賄いきれない、といった事態が続発。挽回のためのコストが後から膨らむことを繰り返している。

 4月就任の満岡社長は「信頼回復」を掲げ、決して自社の状況に鈍感なわけではない。ただIHIは下方修正のたびに保守的に見積もったと説明してきただけに「いつになったら収束するのやら」(国内証券アナリスト)と市場は冷ややかに受け止める。

 今回の修正と同時に、IHIは海洋関連事業の「抜本的な対策の必要性」を検討すると表明せざるを得なくなった。既に船舶建造は分社化し、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)に集約された。