売り上げの6割が「鉄道以外」

 和食や、卵かけご飯・卵丼を提供する「赤坂うまや」。新宿駅近くに位置するホテル「ブラッサム新宿」。これらは、いずれもJR九州がグループで展開する事業だ。

 旧国鉄の赤字路線を多く抱えて発足したJR九州は、収益力を高めるため、鉄道以外の事業の拡大に力を注いできた。会社発足時、売上高に占める鉄道以外の事業は2割弱しかなかった。これが2015年度には約6割を占めるまでに成長した。

 先に上場したJRグループ3社で、新幹線や、大都市を結ぶ在来線を収益源に、鉄道事業で売上高の7割を稼ぐ東海旅客鉄道(JR東海)、同6割の東日本旅客鉄道(JR東日本)や西日本旅客鉄道(JR西日本)と比べても異色の存在だ。

開発案件、各地で目白押し

初値3100円を付けたJR九州の株価ボード(10月25日午前)。投資家から高い評価を受け続けることができるか
初値3100円を付けたJR九州の株価ボード(10月25日午前)。投資家から高い評価を受け続けることができるか

 記念式典後の記者会見で、青柳社長は「鉄道以外の事業は(先に上場したJRグループ)3社と比べて遜色ないか、むしろそれ以上の努力をしてきた」と話した。その言葉に、JR九州が進めてきた多角化経営が実を結び、上場にもこぎ着けたことへの自信がうかがえた。

 JR九州は多角化した事業を、今後も各地で広げる。東京・芝浦では賃貸マンション、東京・新橋では複合ビルを開発しホテルを展開する予定。大阪市では帝人の大阪本社が入るオフィスビルと土地を取得し、マンションを建設するもようだ。「赤坂うまや」を中国・上海で展開するなど、海外にも進出している。

 地盤の九州でも、鉄道以外の事業を中心に積極展開を図る。熊本駅ではホテルやオフィスなどを備えた新たな駅ビルを建設。周辺でマンションも開発する。長崎駅周辺の再開発も今後計画している。マンションは他の主要駅の近くでも開発を進めており、鉄道以外の事業の売上高比率を7割に上げることを目指す。

 今後の課題は、依然として赤字路線を抱える鉄道事業の採算をどう改善させるかだ。同事業は2016年度に黒字化を計画するが、安定して利益を出せる構造にしないと、投資家から厳しい評価を受けるだろう。

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