通信販売大手の千趣会が業績不振を受け大規模なリストラを検討していることが日経ビジネスの取材で明らかになった。数百人規模の希望退職や本社の売却に加え、星野裕幸社長も引責辞任することで最終調整に入った。米アマゾン・ドット・コムが既存の小売事業者を脅かす「アマゾンエフェクト」の猛威はとどまるところを知らないようだ。

 リストラ策は早ければ今週中にも発表される見込み。経費削減のための希望退職は全従業員(約2000人)の1割以上となる数百人規模になりそうだ。

千趣会は1955年に設立され、カタログ「ベルメゾン」を中心に高い知名度を誇った
千趣会は1955年に設立され、カタログ「ベルメゾン」を中心に高い知名度を誇った

 千趣会は2017年にも50人の希望退職を募集(実際には134人が応募)したが、今回は一段とその規模を拡大する。業績不振や希望退職に伴う割り増し退職金などで一段と業績悪化が見込まれるため、大阪市の本社も売却するとみられる。

 業績悪化の責任を取り、星野社長を含む複数の取締役が退任する。後任社長は内部昇格で検討しているとみられる。

 千趣会の業績は低迷が続いている。通販市場自体は伸びているが、過去に強みだったカタログ通販はネット通販に押されっぱなしで苦戦が続く。千趣会自身もカタログからネットへの移行は進めているが、米アマゾン・ドット・コムや「ゾゾタウン」を運営するZOZO(ゾゾ)といったライバルに太刀打ちできていないのが現状だ。

アマゾンの台頭がカタログ通販の苦戦を招いた(写真=ロイター/アフロ)
アマゾンの台頭がカタログ通販の苦戦を招いた(写真=ロイター/アフロ)

 2017年12月期の連結決算は売上高が前年よりも2%少ない1259億円、110億円の最終赤字に転落した。今期は売上高が6%減の1190億円、最終損益で2億円の黒字転換を見込むが、見通しが下方修正される可能性もある。

 米国を中心に、EC(電子商取引)大手のアマゾンが参入した業界では既存企業が駆逐される「アマゾンエフェクト」と呼ばれる現象が起きている。こうした動きは日本を含めた米国外でも広がりを見せており、千趣会もその影響を受けたといえる。

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