世界で進むEVシフト
2017年に入って、様々な環境規制が話題になっている。フランス政府と英国政府が2040年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を国内でやめる方針を打ち出した。
様々な規制の中でも自動車業界は特に、カリフォルニアのZEV規制の動向を注視している。既に規制が始まり、自動車会社の経営に大きな影響を与えているからだ。ZEV規制を手本とする国も少なくなく、例えば中国ではZEV規制にならった規制を導入する動きがある。
ZEV規制におけるクレジット売買の推移を分析すると様々なことが分かる。まずクレジットの取引量が増加傾向にある。11年9月末までの1年間の取引量は50クレジットだったが、17年8月末までの1年間の取引量は7万2976クレジットまで上昇している。
ちなみに、単価は非公表のため実際の金銭的な負担は明らかではないが、これだけ売買されるクレジットが増えているということは、環境対応に出遅れているメーカーにとっての財務的な負担は大きくなっていると推察できる。
出遅れた各社は、自助努力では規制に対応できず、テスラなどに頼らざるを得なくなっている。かつてHVが手薄だったGMは当初、積極的にクレジットを購入。その後は、FCAや米フォード・モーターの購入が目立つようになる。日本企業では、ホンダやSUBARU(スバル)もクレジットを購入してきた。
一方、テスラのほかに規制対応で優位に立つメーカーもある。カリフォルニアで販売数量が多い日産自動車は、クレジットを購入していない。EV「リーフ」の販売が伸びているからだ。
10月27日に開幕する東京モーターショーでは、各社がEVなどのエコカーを華やかに発表するだろう。今後、厳しくなる世界の環境規制に各社はどのように対応するのか。ZEV規制のデータは、規制対応の実力値を如実に示している。
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