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インターネット安全法も日米産業界の脅威だ

 また今年6月に施行された中国のインターネット安全法も脅威だ。これは国内の情報統制だけが問題なのではない。外国企業に対して、サーバー設置の現地化を要求したり、ソースコードの開示を求められたりする可能性がある。

 国境を超える情報の移転を中国当局に規制される恐れもある。こうしたことはIT業界だけがターゲットではない。コマツの建設機械のように、今や製造業もIoT(モノのインターネット)として顧客データの収集、活用することがビジネスの重要な競争力になっている。そうしたグローバルな取り組みが制約されかねないことから、恣意的運用が大きな懸念となっている。

 同様の規制はベトナムでも導入され、このような動きが広がるのは大きな問題だ。

 日米両国の産業界が利害を共有することから、中国に対してルールで追い込んでいくことを日米共同で行うことも重要だ。実は環太平洋経済連携協定(TPP)の中には、そうした懸念する動きを禁止する条項も入っている。

LNG協力も「アジアの機会」

 次に「アジアの機会」はどうか。LNG(液化天然ガス)分野での協力は、日米共同で向き合う典型例だ。米国産のLNG輸出に日本が協力するが、既に日本はLNGを長期契約で十分調達済みである。

 そこで、今後需要拡大が望めるアジアの市場開拓に日本が協力する。例えば、インドネシアへのLNG船による発電事業を支援するのもその一環だ。米国とアジアを結びつける手伝いを日本がするという構図だ。これは中国が一帯一路構想をもって、アジアのインフラ整備を戦略的に行う動きをも睨んでいる。

 米国はややもすれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国に対して2国間での貿易投資問題で要求ばかりが前面に出る傾向にある。そうするとASEAN諸国の離反を招き、結果的に中国を利することにもつながりかねない。アジアを日米共通の「機会」と捉えて、具体的なプロジェクトを仕掛けていけるかがポイントだ。

トランプのアジア歴訪へのかすかな期待は

 このような「中国の脅威」と「アジアの機会」という2大テーマで、日米共同で具体的項目、具体的プロジェクトを仕掛けていくのが日本の戦略だ。しかしながら、米国は未だそういう思考回路になっていないのが現状である。残念ながら、今のトランプ政権にはそういう戦略を噛み合って議論をする相手を見つけることさえ難しいのかもしれない。それでも、日本政府は根気よく対話を重ねる努力をするしかない。

 また腰の定まらないトランプ政権のアジア政策を考えると、トランプ大統領のアジア歴訪を、そのことを気付かせる機会にできるかどうかだ。