もう一つの課題であるWDとの係争については解決のメドはあるのでしょうか。

杉本:まず大前提として、WDが今回訴訟を提起しているのはJVの株式についてです。これを移管するにはWDの承認が必要だと主張しています。ですので東芝は、JVの株式を東芝本体に残したままで、東芝メモリ株を移管するというスキームに変更しています。

 先も説明しましたがJVはペーパーカンパニーのような存在です。仮にWDがJVの株式を買い取っても意味がない。確率は低いのですがWDが訴訟に勝ったとしても、自らの首を絞めるようなものです。

WDの狙いは生産キャパ

ではWDが訴訟を起こした狙いをどう見ていますか。

杉本:ある意味、和解を有利に進めるための交渉戦略でしょう。WDも東芝も困るわけですから、どこかで折り合いがつくだろうとみています。

その折り合いについてですが、例えばWDが競合するSKハイニックスやシーゲートを日米韓連合から排除することを求める可能性もありそうです。

杉本:果たしてWDにそこまでの権利があるのでしょうかね。東芝メモリ株を買い取る企業について文句は言えないはずです。WDにそこまでの法的な権利はありませんから。

 WDが欲しいのは生産能力のキャパでしょう。現在、市況がタイトなのでメモリーをもっとほしい。四日市工場で生産した最先端の3Dメモリーの分配比率が係争の落としどころになるとみています。

成長へ向けて東芝メモリの成毛康雄社長(右)と握手を交わす杉本代表
成長へ向けて東芝メモリの成毛康雄社長(右)と握手を交わす杉本代表

工場の設備投資についてはWDとの共同投資は続くのでしょうか。

杉本:先日、東芝メモリが四日市工場第6棟の初期段階で、単独投資を決めました。契約に基づいて一定期間協議しましたが、WDからは回答がなく、折り合いが付かず単独投資になったというのが実情です。今後は、契約を含めた情報公開を積極的に実施していく必要があると思っています。

 東芝メモリはWDを排除しようとしていません。今後も一緒にやっていくのが大前提です。第6棟の追加投資では、引き続きWDに声を掛けているわけですからね。

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