米ウエスタンデジタル(WD)や台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などとの争奪戦の末、東芝とメモリー事業会社「東芝メモリ」の株式譲渡契約を結んだ「日米韓連合」。同コンソーシアムを主導するのが、米投資ファンドのベインキャピタルだ。買収の狙いは何か、東芝メモリをどのようにして再び成長させるのか。ベインの杉本勇次・日本代表に聞いた。

(聞き手は小笠原啓、佐伯真也)

ベインキャピタルの杉本勇次・日本代表

紆余曲折の末、9月末に東芝メモリの株式取得に関する契約を結びました。改めて出資の狙いを聞かせてください。

杉本勇次氏(以下、杉本):東芝メモリは(メモリー回路を積層させる)「3Dメモリー」で高い技術力を持っています。しかもフラッシュメモリーの市場自体は成長を続けています。今後、積極的に投資していくことでさらに高い成長が期待できる。東芝メモリに対し、人材や資金、経営インフラなど様々な側面で成長をサポートしたい。これが、ベインが出資する狙いです。

東芝の協業先である米ウエスタンデジタル(WD)やEMS(電子機器の受託製造サービス)大手の台湾鴻海(ホンハイ)精密工業など、各社が争奪戦を繰り広げたことで、かなり厳しいディールになったと思います。実際のところ、何が難しかったのでしょうか。

杉本:大きく3つありますね。まずは、2兆円という非常に大きな資金をどう担保するのかという点。次は、東芝メモリ自身が競争力の高い会社なので、事業会社を中心に関心が高かったこと。3つ目は、半導体という事業、そして雇用という観点から国としても重要な会社だったことです。最後の点については、日本のみならず各国に共通する問題かもしれません。

「独立企業」として日本に残す

最終的にベインを軸とする日米韓連合が勝ち残った理由をどう分析しますか。

杉本:東芝メモリが「日本の独立した企業体として残る」という点をベインがサポートできることが大きかったのではないでしょうか。WDを含めた他の陣営は、最終的に東芝メモリを飲み込むつもりだった。独立した形で将来は株式上場させるというのが決め手になったとみています。