ソフトバンクグループの孫正義社長。8月の日経ビジネスのインタビューで「我々はプラットフォームに徹する。要するにパートナーシップモデルなんです」と語っていた。(撮影:的野弘路)

 「やはり始まった」。10月14日、金融やIoTに詳しい関係者はこうつぶやいた。

 ソフトバンクグループは同日、サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)と共同で投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立すると発表した。

 最大1000億ドル(10兆円強)規模を目指し、IT(情報技術)関連企業に投資するという。ソフトバンクが今後5年で250億ドル以上、PIFが450億ドルを出資する方針だ。他にも投資家の出資を募る。
 ソフトバンクの孫正義社長は「ファンドは、今後10年でテクノロジー分野において最大級のプレイヤーとなることでしょう」というコメントを寄せた。

 同社は7月に、半導体設計専業の英アーム・ホールディングスの買収を発表した。その時からファンド設立やIoT関連企業の買収があるだろうと、業界筋ではささやかれれてきた。同社の幹部も「IoTで世界で勝つなら、当然の構えだ」と話す。なぜか。

 既にスマートフォンなどモバイルインターネットの分野で、米アップルや米グーグルが莫大な利益を上げているように、ITの世界は勝者総取りのビジネスだ。
 あらゆるモノがインターネットにつながるIoTにおいては市場規模が拡大し、その傾向に拍車がかかるだろう。

 従来はスマホのOS(基本ソフト)など、コア技術を押さえることが勝者の条件であったが、IoT時代においてはバリューチェーンが複雑で、1つのコア技術を押さえても勝者になれない可能性が高い。センシングから通信、データの統合や分析などハードからソフトまでバリューチェーンを垂直統合し、陣地をより多く押さえた企業が勝者になり得る。半導体設計という上流中の上流でシェアを押さえても、バリューチェーン全体への影響力は限定的だ。

 既に競合他社は垂直統合に動いている。米グーグルや米アップルが関連企業を次々と買収。日本企業でもトヨタ自動車が人工知能の研究所をシリコンバレーに設立したり、走行データを保管・分析するための新会社をマイクロソフトと設立したりしている。ファナックも半導体大手、米エヌビディアと技術提携するなど垂直統合の動きを見せている。